シェルア・エテラト

シェルア・エテラト：新アッシリア帝国の王女

シェルア・エテラト（Serua-eterat / Serua-etirat、前7世紀前半）は、新アッシリア帝国の王女であり、エサルハドン王の長女として生まれました。彼女は、後の王となるアッシュルバニパルの姉にあたります。当時の女性としては珍しく、彼女に関する多くの文書が残されており、その存在は特筆に値します。

生涯

シェルア・エテラトの生没年は明らかではありません。彼女は、エサルハドン王の娘の中で、名前が判明している唯一の人物です。彼女の名前は、同時代の碑文に頻繁に登場します。王の子供たちのリストによれば、彼女には少なくとも一人の妹がいたことが示唆されています。シェルア・エテラトは「長女」と明記されており、これは他にも王女がいたことを意味します。兄弟たちとの出生順を正確に判断することは難しいものの、彼女はアッシュルバニパルやシャマシュ・シュム・ウキンよりも下位に位置づけられていますが、アッシュル・ムキン・パレヤのような王子たちよりも上位に記されています。彼女の重要性は、エサルハドンの子供たちの中で最年長であったことに起因すると考えられています。

彼女の名前は、新年の式典における食事や贈り物に関する記録、アッシュルバニパルからの褒章などにも見られます。また、前669年の王室の医療報告書にも登場し、兄弟たちと共にナブー神に犠牲を捧げ、催し物や祝祭に参加していたことがわかっています。エサルハドンまたはアッシュルバニパルの治世中の文書には、バビロニアの祓魔師長ナブー・ナディン・シュミがエサルハドンと彼女のために祈祷していたという記述もあります。

リッバリ・シャラトへの手紙

彼女はいくつかの王碑文で言及されていますが、前670年頃に出されたアッシュルバニパルの妻（即ち彼女の義妹）リッバリ・シャラト宛ての手紙によって最も良く知られています。この手紙の中で彼女は将来の王妃リッバリ・シャラトに対して、自分が王女であり上位者であることを思い起こさせつつ、彼女が学習を疎かにしていることを叱責しています。

この手紙の中で、シェルア・エテラトはリッバリ・シャラトに対し、王室の一員としての自覚を促し、学問に励むよう諭しています。手紙の冒頭にある「王の娘の言葉」という表現は、通常は王自身が用いるものであり、この手紙が持つ重要性を示唆しています。リッバリ・シャラトが読み書きができない場合、それは王室にとっての恥であると示唆しており、当時の王宮における社会的な緊張を垣間見ることができます。

アラム語の物語における役割

シェルア・エテラトはアッシュルバニパルの治世中まで生きていましたが、その死の状況は不明です。後世のアラム語の物語では、彼女は前652年のアッシュルバニパルとシャマシュ・シュム・ウキンの内戦直前、両者間の和平を仲介する試みにおいて中心的な役割を果たします。物語では、彼女は兄弟間の和平を試みるも失敗に終わり、アッシュルバニパルがシャマシュ・シュム・ウキンを殺害した後、姿を消したとされています。

まとめ

シェルア・エテラトは、新アッシリア帝国の王女として、その生涯と業績は多くの文書に記録されています。彼女は、王室の一員として、また女性としての地位を確立し、後世にその名を残しました。特に、リッバリ・シャラトへの手紙は、当時の王宮の状況や女性の役割を知る上で貴重な資料となっています。

参考文献

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