アッシュルバニパル

アッシュルバニパル：新アッシリア最後の偉大な王

アッシュルバニパル（在位：紀元前668年 - 紀元前631/627年頃）は、新アッシリア帝国の黄金時代を築いた最後の王として知られています。彼は軍事的な才能を発揮し、領土拡大に努めましたが、同時に学問を奨励し、古代オリエント最大の図書館を建設しました。本記事では、彼の生涯、業績、そして彼が残した遺産について詳しく解説します。

生い立ちと王位継承

アッシュルバニパルは、父エサルハドンによって王太子に指名され、紀元前668年に王位を継承しました。彼の王位継承は、兄シャマシュ・シュム・ウキンがバビロン王に任命されたことと同時に行われました。この異例の措置は、アッシリアとバビロニアの関係を円滑に保つためのものであったと考えられています。

軍事遠征と領土拡大

アッシュルバニパルは、エジプト、エラム、アラビアなど各地に遠征を行い、アッシリアの支配地を拡大しました。特に、エラムに対する遠征は大規模なものであり、首都スーサを破壊するほどの徹底的なものでした。また、バビロン王となった兄シャマシュ・シュム・ウキンが反乱を起こすと、これを鎮圧し、帝国の安定を維持しました。

アッシュルバニパルの図書館

アッシュルバニパルの最も偉大な業績は、ニネヴェに建設された図書館です。彼は、帝国各地から集められた3万点以上の粘土板文書を収蔵し、古代メソポタミアの知識を集大成しました。この図書館には、『ギルガメシュ叙事詩』のような重要な文学作品も含まれており、現代の研究者にとって貴重な情報源となっています。アッシュルバニパルは図書館を自身の偉業と捉え、その維持と発展に尽力しました。

アッシリア帝国の衰退とアッシュルバニパルの死

アッシュルバニパルの死後、アッシリア帝国は急速に衰退し、滅亡へと向かいました。彼の死因や死後については不明な点が多く、彼の治世が帝国の崩壊にどのように関連するのかは、依然として議論の余地があります。彼の死後、帝国は内紛と外敵の侵入に苦しみ、最終的には紀元前612年に首都ニネヴェが陥落し、帝国は滅亡しました。

遺産

アッシュルバニパルは、新アッシリア帝国最後の偉大な王として、その名を知られています。彼の軍事的な才能と学問への関心は、帝国の最盛期を築き上げました。特に、アッシュルバニパルの図書館は、古代メソポタミアの文化と知識を現代に伝える貴重な遺産として、高く評価されています。

年表

紀元前668年：アッシリア王に即位
紀元前667年：エジプト遠征
紀元前665年：エラム遠征
紀元前652年：シャマシュ・シュム・ウキンの反乱
紀元前648年：バビロン陥落、シャマシュ・シュム・ウキン自害
紀元前647年：エラム遠征
* 紀元前631年：死去（推定）

アッシュルバニパルの生涯は、新アッシリア帝国の栄光と衰退を象徴しています。彼の時代は、帝国の文化的な頂点であり、同時に滅亡への序章でもありました。彼の遺産は、今もなお、私たちに古代メソポタミアの知識と文化を伝えています。

もう一度検索