シカゴ交通局

シカゴ交通局（CTA）について

シカゴ交通局（Chicago Transit Authority, CTA）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市内とその近郊で公共交通機関を運営する公営企業です。特に「シカゴ・L」として知られる高架鉄道と地下鉄、そしてバス路線を運営しており、地域住民や観光客にとって欠かせない移動手段となっています。

概要

CTAは、シカゴ市内および近郊の40地域で、鉄道とバスのネットワークを展開しています。2008年のデータでは、年間総利用者数が約5億2,630万人、1日平均で約168万人に達しており、その規模の大きさが伺えます。運営規模としては、153のバス路線と8つの鉄道路線を抱え、2,222台のバスと1,190両の鉄道車両を保有しています。また、約11,795人の職員を雇用しており、その運営は巨大な組織によって支えられています。CTAの本部は、シカゴ市内567 West Lake St.に位置しています。

その規模は、全米で2番目、北米全体では4番目という規模を誇ります。全米最大の公共交通機関は、ニューヨーク都市圏をカバーするMTAです。

バス部門

路線数: 153路線
車両保有台数: 2,222台
1日あたり利用者数（2008年平均）: 約104万人
営業距離: 2,517マイル（約4,051キロメートル）
1日あたり運行距離: 221,494マイル（約356,500キロメートル）
停留所数: 11,833箇所

鉄道部門（シカゴ・L）

路線数: 8路線
車両保有台数: 1,190両
1日あたり利用者数: 約65万人
営業距離: 224.1マイル（約360.7キロメートル）
1日あたり運行距離: 216,456マイル（約348,400キロメートル）
駅数: 144駅

組織

CTAの経営は、シカゴ市長から任命される公社総裁が直接担当しています。また、シカゴ都市圏の交通政策を決定するシカゴ交通委員会が、政策面でのサポートを行っています。2009年7月時点では、リチャード・ロドリゲスが総裁、キャロル・ブラウンが交通委員会委員長を務めていました。

CTAは、運営資金の一部を地域交通局（RTA）から補助金として受けています。RTAは、イリノイ州北東部の公共交通機関を財政的に支援し、運営を監視する公的機関です。2006年の報告では、CTAの事業コストの53％が事業収入で賄われ、RTAからの補助金総額は5億2,400万ドルでした。そのうち4億7,950万ドルは、シカゴ地区で徴収された売上税が充当されています。

歴史

CTAは1947年10月1日にシカゴ市の公営企業として設立されました。設立にあたり、既存の2つの民間企業、高架鉄道を運営していたシカゴ・ラピッドトランジット・カンパニー社と、路面電車を運営していたシカゴ・サーフェス・ライン社の資産を買収し、路線網を整備しました。19世紀後半から20世紀前半にかけて、アメリカでは民間資本による公共交通機関の整備が進みましたが、第二次世界大戦後、多くの事業者が経営難に陥りました。その結果、シカゴ市とイリノイ州議会は、公共交通機関を統合し、公営企業として運営することを決定し、CTAが誕生しました。

1952年には、シカゴ・モーターコーチ・カンパニーの資産を買収し、バス事業を傘下に加え、現在の事業形態が確立しました。この買収されたシカゴ・モーターコーチ・カンパニーは、イエローキャブの創始者として知られるジョン・D・ハーツが支配していた企業でした。

主な出来事

1984年: シカゴ・オヘア国際空港への乗り入れ開始
1993年: 鉄道「L」の路線名が色別に変更、シカゴ・ミッドウェー国際空港への乗り入れ開始
1997年: 乗車用磁気式カード（トランジットカード）の導入開始
2006年: 鉄道「L」のピンクラインが開通
2013年: 非接触ICカード「Ventra」が導入され、従来のシカゴカードおよびトランジットカードを置き換え

運賃

CTAの運賃は、現金、トランジットカード、シカゴカードなど、複数の支払い方法があります。また、1日券などの乗り放題パスも利用可能です。以下は2009年1月1日時点の情報です。

現金での乗車

初乗り料金: バス - 2.25ドル、電車 - 基本的に不可
乗り換え料金: 不可

現在、現金での支払いはバスのみで可能です。電車を利用する場合は、駅の自動券売機でトランジットカードを購入する必要があります。支払いは前払い方式で、お釣りは出ません。乗り換えには、毎回初乗り料金が必要です。

トランジットカードでの乗車

初乗り料金: バス - 2.00ドル、電車 - 2.25ドル
乗り換え料金: 初回 - 25セント、2回目 - 無料

トランジットカードは、駅の自動券売機や各種店舗、オンラインで購入できます。最低2ドルからチャージでき、最大100ドルまで可能です。バスでは料金機にカードを挿入し、電車では改札の専用口に挿入します。1枚で7人まで利用できます。Paceバスでも利用可能ですが、メトラの鉄道では利用できません。

乗り換えは初乗りから2時間以内です。同一路線を往復する場合でも、往路乗車から2時間以内であれば、復路は乗り換え料金が適用されます。

シカゴカードでの乗車

料金体系は、上記トランジットカードと同様

タッチ式のカードで、オンライン管理可能な「シカゴカード・プラス」もあります。バスでは乗り口付近の専用パネルに、電車では駅改札の専用パネルにタッチします。1枚で7人まで利用できます。Paceバスでも利用可能ですが、メトラの鉄道では利用できません。

シカゴカードの種類

シカゴカード: 郵便、電話、オンライン、またはCTA本社や各種店舗で購入。駅の自動券売機や指定の場所でチャージ可能。現金チャージのみ。
シカゴカード・プラス: 郵便、電話、オンライン、またはCTA本社でのみ購入可能。残高が一定額を下回ると自動的にクレジットカードやデビットカードでチャージされる。オンラインで残高確認が可能。

乗り放題パス

1日券: 10ドル
3日券: 20ドル
7日券: 28ドル
30日券: 100ドル

これらのパスは、特定駅の自動券売機や各種店舗、オンラインで購入できます。最初の使用時から24時間ごとに「1日」とカウントされます。CTAのバスと電車は乗り放題ですが、メトラの鉄道では利用できません。

乗換え無料駅

以下の駅では、トランジットカードやシカゴカードを利用した電車間の乗り換えが無料です。

Loop内: Clark駅, Lake駅, State駅, Adams駅, Jackson(& State)駅, Jackson(& Dearborn)駅, Library駅, Washington(& Wells)駅, Washington(& State)駅, Washington(& Dearborn)駅
Loop北部: Howard駅, Belmont駅, Fullerton駅, Merchandise Mart駅
Loop西部: Clinton駅, Ashland駅
Loop南部: Roosevelt駅

関連項目

シカゴの公共交通機関

外部リンク

Chicago Transit Authority(英語)
* Ventra(英語)

脚注

[※2018年現在、Ventraの全面導入により上記のシステムとは大きく異なっています。]

この情報は、シカゴ交通局の概要、歴史、組織、運賃システムに関する詳細な情報を提供します。これらの情報は、シカゴの公共交通機関をより良く理解し、活用するための基礎となるでしょう。

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