シカゴ8

シカゴ8：シカゴの第7スタジオアルバム

シカゴ8（原題：Chicago VIII）は、アメリカのロックバンドシカゴによる1975年の作品で、バンドとしての7枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、前作シカゴ7における実験的なジャズやポップのスタイルを受け継ぎつつも、より整理された落ち着きのある音楽に回帰しています。

アルバムの録音は、1974年の夏にコロラドのカリブー・ランチ・スタジオで行われましたが、その頃のシカゴのメンバーは活動の疲れを感じていました。5年間にわたるバンドの活動の後でのこのアルバムは、シカゴの音楽スタイルの多様性を探求する作品となり、シカゴ6の延長線上に位置しています。ただし、シカゴ8にはよりロック色が強く、ピーター・セテラが作曲した「エニウェイ・ユー・ウォント」や「ハイダウェイ」など、明確なロックの要素を感じることができます。

また、テリー・キャスが作曲した曲「オウ・サンキュー・グレイト・スピリット」はジミ・ヘンドリックスへのトリビュートであり、さらにジェイムズ・パンコウの「オウルド・デイズ」は全米チャートで5位に達するヒットとなりました。アルバムには、バラード形式の「ブラン・ニュー・ラヴ・アフェア、パート1&2」（61位）などの楽曲も含まれています。

「ハリー・トルーマン」というラム作の楽曲はすでにヒットしていましたが、シカゴ7の人気が続いていたため、シカゴ8の発売は1975年3月まで延期されました。このアルバムはアメリカのチャートで第1位を記録しましたが、批評家からの評価は賛否が分かれ、アルバムの魅力に乏しいとされることが多いようです。その結果、シカゴの作品の中で、アルバムチャートに留まった期間が最も短い作品となってしまいました。

興味深いことに、シカゴ8はセッション・パーカッショニストのローディール・デ・オリヴェイラが初めて公式にバンドのメンバーとしてクレジットされたアルバムでもあります。これによりバンドのダイナミクスが新たに変化しました。アルバムの初回LPパッケージには、Tシャツ用のアイロンプリントが施されたカバーと、警察官に停車を命じられたバンドメンバーのポスターが同封されていました。

シカゴ8は2チャンネルと4チャンネルの二つのフォーマットでリリースされ、2002年にはライノ・レコードからリマスター版が発売されました。この再発盤には、未発表の楽曲としてテリー・キャスの「シックスス・センス」とラムの「ブライト・アイズ」がボーナストラックとして加えられました。また、ディック・クラークの大晦日の特別番組「ロッキン・ニュー・イヤーズ・イヴ」用に制作された「サテン・ドール」も含まれています。

シカゴ8は、バンドの音楽的な成長と挑戦が織り交ぜられた一枚ですが、商業的には成功を収めつつも、同時に批評家からの評価には苦しむことになりました。

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