シカゴ7

シカゴ7（Chicago VII）

シカゴ7は、アメリカのロックバンドシカゴが1974年に発表した6枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、バンドにとって6年ぶりとなる2枚組のリリースであり、彼らの音楽スタイルを新たな次元へと進化させる作品となりました。この双盤の中には、ジャズの影響を反映した楽曲があり、そこから派生した様々なスタイルが見受けられます。

背景

1973年にアルバム「シカゴ6」をリリースした後、シカゴは頻繁にツアーを行いました。演奏が進むにつれて、バンドはより長いジャズの器楽曲をライヴで披露するようになり、観客からは賛否両論の反応が返ってきました。それでも、バンド自身は熱気を感じており、ジャズを意識した楽曲を制作する決意を新たにしました。プロデューサーのジェイムズ・ウィリアム・ガルシオが所有するカリブ・ランチ・スタジオでの録音が始まりましたが、途中で「ジャズとは何か」というテーマでの意見の不一致が表面化しました。

ピーター・セテラとガルシオは、商業的なリスクを冒してまでこの企画を進めるべきか疑問を呈しました。その結果、一部の楽曲にはジャズ的な雰囲気があったものの、他の楽曲はより一般的なロックスタイルに変更され、最終的には新たな2枚組のアルバムが完成することとなったのです。

バンドは以前のスタイルを基に戻し、さまざまな影響が混ざり合った楽曲を作り上げました。テリー・キャスの「ビブロス」は、東京赤坂のディスコ「ビブロス」に由来し、他のメンバーがソロアルバム制作を進める中で新たな曲を提供しました。ロバート・ラムは、ポインター・シスターズをコーラスで迎え入れた楽曲も制作しました。シカゴ7は、これらの努力によって多様な音楽性を示すことに成功しました。

特にピーター・セテラは本アルバムでの成長が顕著で、彼のバラード「ウィッシング・ユー・ワー・ヒア」は大きなヒットを記録しました。この曲は、バックコーラスにビーチ・ボーイズを起用し、彼の未来の成功を暗示させるものでした。

アルバムの特徴

シカゴ7には、リー・ロックネインが初めてリードボーカルを務める「ソング・オブ・エヴァグリーンズ」が収録されており、また全メンバーが作曲に参加した唯一のアルバムでもあります。1974年3月のリリース後、アルバムは商業的に成功し、1枚目はアメリカ国内で第1位に輝きました。

2002年にはリマスター版がリリースされ、ボーナストラックとして「ビブロス」のリハーサル音源が追加されました。このCDには、元のアルバムよりも編集されたトラックも含まれるなど、ファンにとっても楽しめる要素が詰まっています。

曲目リスト

1. エアーへのプレリュード - "Prelude to Aire" (D.Seraphine) 2:47
2. エアー - "Aire" (D.Seraphine, W.Parazaider, J.Pankow) 6:27
3. 悪魔の甘いささやき - "Devil's Sweet" (D.Seraphine, W.Parazaider) 10:07
4. ニューヨークのイタリア人 - "Italian from New York" (R.Lamm) 4:14
5. ハンキー·パンキー - "Hanky Panky" (R.Lamm) 1:53
6. 愛の女神 - "Life Saver" (R.Lamm) 5:18
7. ハッピー·マン - "Happy Man" (P.Cetera) 3:34
8. 遥かなる愛の夜明け - "(I've Been) Searchin' So Long" (J.Pankow) 4:29
9. モンゴヌークレオシイス - "Mongonucleosis" (J.Pankow) 3:26
10. ソング·オブ·エヴァー·グリーン - "Song of the Evergreens" (T.Kath) 5:20
11. 思い出のビブロス - "Byblos" (T.Kath) 6:18
12. 渚に消えた恋 - "Wishing You Were Here" (P.Cetera) 4:37
13. 君は僕のすべて - "Call on Me" (L.Loughnane) 4:02
14. 女のお話し - "Woman Don't Want to Love Me" (R.Lamm) 4:35
15. ママが僕に言ったこと - "Skinny Boy" (R.Lamm) 5:12

シカゴ7は、その革新性や多様性、さらにはバンドメンバー全員が創作に関わったことから、名盤となっています。

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