シギアブ

シギアブとは

シギアブは、ハエ目シギアブ科（Rhagionidae）に分類される昆虫の総称です。世界中に約22属720種が分布しており、様々な環境に適応しています。

形態

成虫の体長は4mmから12mm程度で、体色は淡褐色、褐色、灰色など様々です。黄色やオレンジ色の模様を持つ種類もいます。複眼はオスでは互いに接するか、わずかに離れている程度ですが、メスでは複眼が離れています。翅は透明、または部分的に色が付いています。

幼虫は円筒形で、いわゆるウジ虫のような形をしています。しかし、シギアブの幼虫については、まだ多くの種でその生態が解明されていません。

生態

シギアブの生態について詳しいことが分かっているのは、ごく一部の種類に限られています。Chrysopilus属やRhagio属の成虫は、他の昆虫を捕食することが知られていますが、口器の形態や実際の捕食行動の観察例が少ないため、成虫の生活様式はまだ十分に解明されていません。新熱帯地域では、シギアブの成虫が樹木の幹に静止している様子が観察されています。

幼虫に関する知見も限られていますが、Rhagio属の幼虫は川辺などの湿った土壌から発見されることが知られています。同様に、Chrysopilus属の幼虫も水中生活をしていると考えられています。

分類

シギアブ科は、ハエ亜目（短角亜目）のアブ下目に分類されます。かつてはAtherix属やVermileo属などもシギアブ科に含まれていましたが、現在ではそれぞれ独立した科（ナガレアブ科Athericidae、アナアブ科Vermileonidae）として扱われています。

属

シギアブ科には、以下の属が含まれます。

Alloleptis Nagotomi & Saigusa in Nagatomi, 1982 - スラウェシ島
Arthroceras Williston, 1886 - 新北区、旧北区
Arthroteles Bezzi, 1926 - エチオピア区
Atherimorpha White, 1914 - オーストララシア, 新熱帯区、エチオピア区
Austroleptis Hardy, 1914 - オーストララシア, 新熱帯区
Bolbomyia Loew, 1850 - タカネシギアブ属、新北区
Chrysopilus Macquart, 1826 - 新北区、旧北区、エチオピア区、新熱帯区、東洋区
Desmomyia Brunetti, 1912 - 旧北区、東洋区
Litoleptis Chillcott, 1963 - ナガトミシギアブ属、新北区、エチオピア区、新熱帯区
Omphalophora Becker, 1900 - 新北区、旧北区
Ptiolina Staeger in Zetterstedt, 1842 - ヒメシギアブ属、新北区、旧北区
Rhagio Fabricius, 1775 - 新北区、旧北区
Schizella Bezzi, 1926 - フィリピン
Solomomyia Nagatomi, 1982 - ソロモン諸島
Spania Meigen, 1830 - コガタシギアブ属、新北区、旧北区
Spaniopsis Senior-White, 1914 - オーストララシア
Spatulina Szilády, 1934 - 旧北区
Stylospania Frey, 1954 - フィリピン
* Symphoromyia Frauenfeld, 1867 - 新北区、旧北区

シギアブは、その多様な形態や生態、分類において、未だ多くの謎を秘めた昆虫です。今後の研究によって、更なる知見が得られることが期待されます。

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