シザーズドア

シザーズドア：ハサミのように開く、個性的な自動車ドア

シザーズドアは、自動車のドア開閉方式の一つで、ドアの前部にあるヒンジを中心に上方に開くのが特徴です。まるでハサミのように開閉する様子から、この名が付けられました。ランボルギーニなどで採用されていることで有名になり、近年では、その独特のスタイルから多くの注目を集めています。本記事では、シザーズドアの歴史、メカニズム、代表的な車種、そしてガルウィングドアとの違いについて詳細に解説します。

シザーズドアの歴史：アルファロメオからランボルギーニへ

シザーズドアの起源は、1968年に発表されたアルファロメオ・カラボというコンセプトカーにまで遡ります。ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニ氏によるデザインで、この斬新なドア機構が初めて採用されました。しかし、真にシザーズドアを世に知らしめたのは、同じくガンディーニ氏デザインのランボルギーニ・カウンタックです。1974年に発表されたこのスーパーカーは、シザーズドアを標準装備としており、その個性的なスタイルと相まって、世界的な人気を博しました。

以降、ランボルギーニはディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドール、レヴエルトと、数々の後継モデルにおいてもシザーズドアを採用し続けています。これらのモデルを通して、シザーズドアはランボルギーニのアイコニックなデザイン要素として確固たる地位を築きました。

シザーズドアの構造とメカニズム：様々なバリエーション

シザーズドアの基本的な構造は、ドアの前部を車体に取り付けられたヒンジで支え、それを中心に上方に回転させるというシンプルなものです。しかし、その具体的な構造や開閉方法は、車種によって微妙に異なっています。

初期のシザーズドア、例えばアルファロメオ・カラボやランボルギーニ・カウンタックでは、ドアの前端がフェンダー（車輪の上部を覆う部分）にめり込むように開閉する方式が採用されていました。一方、ランボルギーニ・ディアブロ以降のモデルでは、ドアの前端がフェンダーから離れるように上に開き、アヴェンタドールではさらに外側に開く動きが加わっています。

また、最近では、アフターマーケットでシザーズドアへの改造パーツも販売されており、既存のドアを改造してシザーズドア風に開閉させることも可能です。これらの改造パーツは、ドアを横に少し開いた後に上方に開く機構を採用していることが多いようです。さらに、ルーフパネルの一部を切り取ってドアに溶接することで、フォードGTのようなドア形状に改造することもできます。

シザーズドアとガルウィングドア：違いはどこ？

日本では、シザーズドアとガルウィングドアが混同されることがありますが、両者は異なるドア開閉方式です。ガルウィングドアは、ドアが真上に開く方式であるのに対し、シザーズドアはドアが前部ヒンジを中心に上方に開きます。そのため、シザーズドアはガルウィングドアに比べて、より低い位置でドアを開閉できるという利点があります。

シザーズドアを採用した代表的な車種

シザーズドアは、ランボルギーニ車以外にも、いくつかの車種で採用されてきました。代表的なモデルとしては、ブガッティ・EB110やスパイカー・C8などが挙げられます。これらの車種は、それぞれ独自のシザーズドア機構を持ち、スーパーカーらしい個性を際立たせています。

まとめ：シザーズドアの魅力

シザーズドアは、その独特の開閉機構とスタイリッシュなデザインから、自動車愛好家から高い人気を集めています。ランボルギーニ車に代表されるように、スーパーカーの象徴的な存在として定着しており、今後もその人気は衰えることはないでしょう。この記事が、シザーズドアの魅力を理解する上で、少しでもお役に立てれば幸いです。

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