ブガッティ・EB110

ブガッティ EB110

EB110は、ブガッティ・アウトモビリSpAが製造したスーパーカーで、1991年に発表されました。この車名は創立者エットーレ・ブガッティのイニシャル「EB」と彼の生誕110周年に由来しています。ブガッティブランドを再興したロマーノ・アルティオーリが経営を担当し、メカニズムの設計はフェラーリ・F40の開発で名を馳せたニコラ・マテラッツィが手がけ、エクステリアデザインは当初マルチェロ・ガンディーニが担当しましたが、やがてデザインの方向性を巡って対立が生じました。

歴史

1991年に発表されたEB110は、フランスのヴェルサイユとパリの高層ビルで同時にデビューしました。アルティオーリのリーダーシップのもと、車両のメカニズムは何度も設計が変更され、最終的にはマテラッツィと建築家ジャンパオロ・ベネディーニがデザインを完成させました。特に、エンジンは3,499 ccのV型12気筒エンジンに4基のターボチャージャーを搭載し、560 PSの出力を誇ります。

設計

EB110は、ミッドシップ配置のエンジンと6速MTトランスミッションを組み合わせています。駆動方式にはトルセンデフを採用したフルタイム4WDが使われ、優れた操縦安定性を実現しています。シャシは炭素繊維強化プラスチック（CFRP）製で、ボディはアルミ合金製です。スタンツァーニは耐久性を重視しつつ、先進的な技術の導入を図りました。

さらに、著名なデザイナー、ガンディーニは、EB110のデザインにおいて空力性能の向上を目指しました。彼は、カウンタックでの経験から得た教訓を生かし、340 km/hという極限の速度域でも安定性を保つスタイリングを実現しました。ただし、デザインに関してアルティオーリとの対立が発生し、最終的にガンディーニはプロジェクトを離れることとなりました。

EB110SS

1992年には、出力を向上させ、車体を軽量化した「EB110SS」も導入されました。このモデルは、611 PSの最高出力を誇り、最高速度は355 km/hに達しました。エクステリアデザインにも変更が施され、よりアグレッシブなスタイルが強調されています。

生産終了

しかし、1995年にブガッティは倒産。その結果、EB110は生産を終了し、ブガッティブランドの最後のモデルとなりました。倒産時に生産が進められていた車両の多くは、破産管財人を通じて他の企業に引き継がれました。特に、ダウアーブランドでは、EB110の軽量化モデルが製造され、著名なレーシングドライバーのミハエル・シューマッハによってもオーダーされました。

レース活動と日本での販売

EB110は、その性能を生かしてレース活動にも挑戦しました。1996年にはデレク・ヒルがデイトナ24時間レースに出場。日本では、ニコル・オートモビルズが正規輸入元となり、高価なモデルでありながら複数台が輸入されました。式場壮吉氏も関与し、自ら1台を保有して公式イベントに参加するなど、日本国内でも話題となったスーパーカーです。

このように、EB110はブガッティの伝説的なモデルとして、多くの技術やデザインの革新をもたらしました。

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