シスチン

シスチン：タンパク質構造の要となるアミノ酸

シスチンは、2つのシステイン分子がジスルフィド結合によって結合したアミノ酸です。システインの水硫基(-SH)が酸化されることでこの結合が形成されます。自然界ではL体（R,R’体）が多く存在し、白色の固体で水への溶解度は低いのが特徴です。

シスチンの存在と役割

シスチンは、皮膚、毛髪、爪などのケラチンに豊富に含まれています。人間の頭髪中には、質量比で約10～14%も含まれると言われています。その他、卵、乳製品、全粒穀物など多くの食品にも含まれています。

タンパク質全体におけるシスチンの含有量は必ずしも多くありませんが、その存在はタンパク質の高次構造を決定づける上で極めて重要です。シスチンは、タンパク質の立体構造を維持するために、酸化還元反応と物理的結合という2つの役割を担っています。ジスルフィド結合はタンパク質を安定させ、その機能を支える重要な要素となっています。

シスチンの化学的性質

シスチンを構成するジスルフィド結合は、高温下や、2-メルカプトエタノールやジチオスレイトールなどのチオール化合物によって容易に切断されます。この反応によって、シスチンは2分子のシステインに還元されます。この化学反応は、以下の式で表すことができます。

(SCH₂CH(NH₂)CO₂H)₂ + 2RSH → 2HSCH₂CH(NH₂)CO₂H + RSSR

この式において、RSHはチオール化合物、RSSRはジスルフィドを表します。

シスチンの栄養学的側面と歴史

シスチンの栄養学的利点や摂取源は、システインと共通しています。シスチンは体内でシステインに変換されるため、両者は互いに補完的な関係にあります。

シスチンは1810年にウィリアム・ハイド・ウォラストンによって発見されましたが、それがタンパク質に由来することが認識されたのは1899年、肥育牛の角からの単離の後でした。

まとめ

シスチンは、タンパク質の構造と機能に不可欠なアミノ酸です。皮膚、毛髪、爪などの健康維持に重要な役割を果たし、様々な食品からも摂取できます。その化学的性質や歴史的背景を知ることで、シスチンの重要性をより深く理解することができます。

関連用語

システイン
ジスルフィド
スルフィド
チオール
ランチオニン
サリバン反応
* タンパク質構造

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