全粒穀物
全粒穀物とは
全粒穀物とは、精白などの処理で糠（果皮、種皮、胚、胚乳表層部）を取り除いていない穀物、またはそれを使用した製品のことです。具体的には、玄米、発芽玄米、ふすま付きの麦、全粒粉を使った食品、オートミール、挽きぐるみのそばなどが挙げられます。
全粒穀物の栄養価と健康効果
全粒穀物は、精白された穀物よりも食物繊維、ビタミンB群（特にビタミンB1）、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。そのため、健康を意識する人々に広く支持されています。
特に、食物繊維は消化吸収を緩やかにし、満腹感を長時間持続させる効果があります。これは血糖値の急上昇を抑制し、生活習慣病の予防にもつながると考えられています。また、糠に含まれる成分には、美容効果が期待できるものもあります。
各国の推奨状況
1999年、アメリカ食品医薬品局（FDA）は、全粒穀物を51%以上含む製品に、がんや心臓病のリスクを低減する可能性があると表示することを許可しました。アメリカやカナダの食生活指針では、穀物の摂取量の半分以上を全粒穀物にすることを推奨しています。イギリス、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなどでも、未精製の穀物の摂取が推奨されています。
世界保健機関（WHO）と国際連合食糧農業機関（FAO）は、2003年のレポートで、野菜や全粒穀物に豊富な食物繊維が、肥満、糖尿病、心臓病のリスクを低下させると報告しました。アメリカ心臓協会（AHA）も、2006年の生活指針で、穀物の半分以上を全粒穀物にすることを推奨しています。世界がん研究基金とアメリカがん研究協会は、がん予防のために全粒穀物の摂取を推奨しています。
研究結果
大規模な研究調査によって、全粒穀物の摂取が主要な生活習慣病のリスク低下につながることが示されています。アメリカ国立癌研究所の研究では、未精製の穀物が大腸癌のリスクを下げることが報告されています。他の研究でも、糖尿病や心臓病のリスクを低下させる可能性が示唆されています。また、複数の研究のメタアナリシスでは、全粒穀物が心血管疾患のリスクを低下させることが確認されています。女性においては、炎症性疾患のリスク低下も報告されており、これは全粒穀物に豊富な抗酸化物質であるフィトケミカルによるものと考えられています。
1985年には、大腸癌抑制の原因として食物繊維よりもフィチン酸が注目され、後の研究でフィチン酸の単独投与ががんや腫瘍を抑制することが確認されています。
メイヨークリニックは、季節性インフルエンザの予防策として、食事において全粒穀物を摂取することを推奨しています。
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