シスプラチナ州

シスプラチナ州とは

シスプラチナ州（Província Cisplatina）は、19世紀初頭にブラジル帝国が領有していた州で、現在のウルグアイ東方共和国に相当する地域です。その名はポルトガル語で「ラ・プラタ川の手前の州」を意味し、地理的な位置関係を示しています。

シスプラチナ州成立の背景

1816年、ポルトガルのジョアン6世は、領土拡大を目指し、長年スペインとの間で領有権が争われていた東方州（バンダ・オリエンタル）に侵攻しました。当時、東方州ではホセ・アルティーガスが率いる連邦同盟とブエノスアイレスの軍勢が対立しており、ポルトガルの侵攻はこの状況を有利に進めました。1820年、アルティーガス軍は敗北し、アルティーガス自身もパラグアイへ亡命、失脚しました。その結果、1821年に東方州はシスプラチナ州と改名され、ポルトガル、そしてブラジル帝国の領土となったのです。

ブエノスアイレスは当初、反アルティーガスという立場から東方州への侵略を黙認していましたが、この態度がラ・プラタ連合州内のリトラル諸州からの猛反発を招き、内戦へと発展しました。

独立戦争とウルグアイの独立

1825年、アルティーガスの副官であったフアン・アントニオ・ラバジェハ将軍が、33人の東方人と共にシスプラチナ州に潜入し、独立戦争を開始しました。ラ・プラタ連合州はこれを支援し、ブラジルは宣戦布告、シスプラティーナ戦争へと発展しました。ラバジェハ率いる東方人は、東方州とアルゼンチンの合併を望んでおり、戦争はアルゼンチンに有利に進みました。しかし、1828年、ラ・プラタ川両岸をアルゼンチンが領有することを警戒したイギリスの仲介により、モンテビデオ条約が締結され、シスプラチナ州はウルグアイ東方共和国として独立を達成しました。この戦争での敗北は、ブラジル皇帝ペドロ1世の退位の一因ともなりました。

まとめ

シスプラチナ州の歴史は、領土紛争、独立運動、そして大国の思惑が複雑に絡み合ったものでした。この地域の独立は、南米の政治地図を大きく塗り替える出来事となり、ウルグアイという国家の成立に繋がりました。


関連項目

ウルグアイの歴史
ポルトガルによるアメリカ大陸の植民地化

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