シスプラティーナ戦争

シスプラティーナ戦争

シスプラティーナ戦争は、19世紀前半に南米で発生した、リオ・デ・ラ・プラタ連合州（以下、アルゼンチン）とブラジル帝国の間の戦争です。この戦争は、現在のウルグアイにあたるバンダ・オリエンタル地域の領有権を巡って勃発し、その後のウルグアイの独立、そしてアルゼンチンとブラジルの国内政治にも大きな影響を与えました。

戦争の背景

1811年、バンダ・オリエンタルで独立運動が起こり、ホセ・ヘルバシオ・アルティーガスが指導する連邦派が勢力を拡大しました。アルティーガスはバンダ・オリエンタルを東方州として再編し、アルゼンチンの連邦同盟の拠点としました。しかし、1816年からポルトガル軍が東方州への侵攻を開始し、1820年にアルティーガスが敗北すると、東方州はポルトガルによって占領されました。

1821年、ポルトガルは東方州をシスプラチナ州と改名し、ブラジルが独立した後、シスプラチナ州はブラジル帝国の一部となりました。しかし、シスプラチナ州の住民の中には、アルゼンチンへの復帰を望む人々も少なくありませんでした。

戦争の勃発

アルゼンチンに亡命していた東方州の人々は、ブラジルからの解放とアルゼンチンへの加盟を望んでいました。また、アルゼンチン国内でも、特に旧連邦同盟を形成していたリトラル三州を中心に、東方州の奪回を求める声が高まっていました。

1825年4月、フアン・アントニオ・ラバジェハ将軍が33人の東方人を率いてシスプラチナ州に潜入し、ゲリラ戦を開始しました。この戦いは次第にバンダ・オリエンタルの人々の支持を集め、同年8月には独立とアルゼンチンとの連合を宣言しました。アルゼンチン議会がこの提案を受け入れたことで、ブラジルは同年12月にアルゼンチンに宣戦布告し、シスプラティーナ戦争が勃発しました。

戦争の経過

戦争が始まると、ブラジルは海軍を用いてアルゼンチンの主要港を封鎖しました。アルゼンチンは当初苦戦を強いられましたが、徐々に反撃を開始し、1827年2月にはイツサインゴの戦いでブラジル軍を破るなど、戦況を有利に進めました。

しかし、アルゼンチン国内では統一派と連邦派の対立が激化し、政治的な混乱が続いていました。そのような状況下で、アルゼンチンのリバダビア大統領は、東方州のブラジル帰属を認める講和条約を結ぼうとしました。この条約は国内の反発を招き、リバダビアは失脚し、中央政府も崩壊しました。

その後、ブエノスアイレス州知事のマヌエル・ドレーゴが戦争を継続しましたが、戦況は膠着状態に陥りました。1828年、フルクトゥオソ・リベラがブラジルに占領されていた東ミシオネス州を占領しました。

戦争の結果

戦争はアルゼンチンとブラジルの双方に大きな損害を与え、両国間の貿易を阻害していたイギリスも和平を望んでいました。1828年、イギリスとフランスの調停により、リオ・デ・ジャネイロで和平会議が開かれ、アルゼンチンとブラジルはモンテビデオ条約を締結しました。

この条約により、バンダ・オリエンタルはウルグアイ東方国として独立することになりました。しかし、ウルグアイでは独立後も保守派と自由派の対立が続き、アルゼンチンとブラジルの影響下で政治的な混乱が続きました。この混乱は、後の大戦争やパラグアイ戦争につながる要因となりました。

また、アルゼンチンでは連邦派と統一派の対立が激化し、フアン・マヌエル・デ・ロサスが勢力を握るまで内戦が続きました。

シスプラティーナ戦争は、南米の政治地図を大きく塗り替えるとともに、その後の地域の紛争の種を蒔くことになったのです。

関連項目

大戦争
パラグアイ戦争

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