シタデル・ラフェリエール

シタデル・ラフェリエール：ハイチの独立を象徴する巨大要塞

シタデル・ラフェリエールは、ハイチ北部の山頂にそびえ立つ巨大な要塞であり、その威容はハイチの国民的シンボルとなっています。独立間もないハイチが、かつての宗主国フランスの侵攻から国を守るために、19世紀初頭に建設されました。

歴史

1805年から1817年にかけて、推定20万人もの奴隷労働者が動員され建設されました。建設を主導したのは、当時のハイチの将軍であり、北部地方の行政長官であったアンリ・クリストフです。彼は後にハイチ国王アンリ1世を宣言し、シタデルを王国の象徴としました。

クリストフは、フランス軍の侵攻に備え、自軍に海岸沿いの資源を焼き払わせ、シタデルへの一本道に待ち伏せを仕掛ける籠城計画を立てました。しかし、要塞が実際に戦闘に使用されることはありませんでした。

クリストフの王政は長くは続かず、1820年に反乱が発生。彼はサン＝スーシ城で自殺し、遺体はシタデルの中庭に埋葬されました。

構造

シタデルは、標高970mの山頂に位置し、その外観は山腹から突き出た巨大な石船を連想させます。要塞には様々な大きさの365門の大砲が備え付けられ、壁の基部には大量の砲弾が積み上げられています。

壁の高さは約50m、総面積は約1ヘクタールに及びます。内部には貯水槽、食料庫、宮殿、地下牢、沐浴場、製パン所などが備えられ、5000人の兵士が1年間籠城できるだけの物資を貯蔵できました。

建設には、生石灰、糖蜜、ウシやヤギの血などを混ぜたモルタルが使用され、その堅牢さから度重なる地震にも耐えてきました。

世界遺産

シタデルは、その歴史的、文化的価値が認められ、1982年に近隣のサン＝スーシ宮殿などと共に、ユネスコの世界遺産「シタデル、サン＝スーシ城、ラミエール国立歴史公園」として登録されました。

観光

現在、シタデルはハイチで最も人気のある観光スポットの一つとなっています。観光客はミローの町でガイドを雇い、入場料を払って要塞内を見学できます。山道を登る必要があるため、ラバを借りるのがおすすめです。

内部はほぼ全て見学可能で、屋上からは周囲の絶景を一望できます。近年、ハイチの政情不安から観光客が減少していますが、北部地域は比較的安定しており、安全に観光を楽しめます。

シタデル・ラフェリエールは、ハイチの独立の歴史を物語る貴重な遺産であり、その壮大な姿は訪れる人々を魅了し続けています。

外部リンク

Marvin T. Jones & Associates, Citadel story and photo gallery
Google Satellite Pictures
Citadelle Laferrière on Global Heritage Network
Global Heritage Fund investigative summary of the Citadel(video)

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