シチリア・ブルボン朝

シチリア・ブルボン朝の歴史

シチリア・ブルボン朝は、1734年から1860年にかけてナポリ王国とシチリア王国（後に両シチリア王国として統合）を支配したブルボン家の王朝を指します。この時期、南イタリアは大きな政治的変動と文化の交差点でした。以下に、その歴史的背景と重要な出来事を詳しく紹介します。

前史：ナポリとシチリアの分裂

シチリア晩祷戦争の混乱の中で、ナポリ王国とシチリア王国は分裂状態にありました。この局面を打破したのがアラゴン王アルフォンソ5世で、彼はナポリを征服し、同時にシチリア王位も兼ねる形となりました。しかし、彼の支配下でも両国の政治体制は別々に維持されました。
その後の王位継承によってナポリとシチリアの王権は再び統合され、アルフォンソの死後、ハプスブルク家のカルロス1世が王位を継承しました。このようにして、ブルボン家の支配が始まることになります。

ブルボン家の統治開始

1715年、ハプスブルク家が断絶すると、フェリペ5世が即位してスペイン・ブルボン朝が成立しました。しかし、スペイン継承戦争を経てナポリとシチリアは一時的にオーストリアに支配されます。 その後、フェリペの後妻エリザベッタ・ファルネーゼの息子カルロが1733年にポーランド継承戦争を利用し、ナポリとシチリアを征服しました。この成功により、彼はナポリ王カルロ7世およびシチリア王カルロ5世として即位しました。 これに伴い王国としては両シチリア王国の体制が整うも、実際に政権はナポリに集中しました。

カルロ7世の統治下でいくつかの改革が試みられましたが、保守派との対立により挫折することも多く、実権は各主要者に移行します。

ナポレオン時代と両シチリア王国

1796年、ナポレオン・ボナパルトがイタリアに侵攻し、フェルディナンドはシチリアに逃れます。ナポリでは1799年にパルテノペア共和国が成立しましたが、フェルディナンドは王党派の力を借りて復権します。1816年、ようやくナポリとシチリアは完全に統合され、両シチリア王国が成立しました。 しかし、この時点でも支配層とシチリアの民衆の間には依然として摩擦が残り、反感を抱かれていくつかの改革への道のりが厳しかったのです。

自由主義の運動と反動

1820年、カルボネリーアという秘密結社による反乱がナポリで起こります。が、当局の急造憲法と弾圧の結果、自由主義的な動きは抑え込まれます。様々な政治的変動を迎えながら、シチリアでも独立を求める声が高まりを見せますが、やはりナポリ政府はこれを厳格に弾圧しました。

1848年には、ヨーロッパ各地で革命が起き、シチリアでの動乱も同様です。フェルディナンド2世は一時は自由主義的な施策を取るも、結局は反動に戻り、反発が強まります。 その後の動乱の中で両シチリア王国の基盤は徐々に揺らいでいきます。

王朝の滅亡とイタリア統一

1859年、フランチェスコ2世が王となり、イタリアは統一に向けて動き出します。1860年、ジュゼッペ・ガリバルディがシチリアに上陸し、戦闘が繰り広げられました。最終的に、ボルボーネ軍は劣勢を強いられることとなり、1861年には両シチリア王国が滅亡します。フランチェスコ2世は亡命に追い込まれ、その後のイタリア王国成立により、かつての王権は完全に消え去ります。

その後の影響と現在

両シチリア王国の滅亡後も南イタリアではボルボーネ家の復権を求める運動が続き、現在もその名残が見られます。最後の国王フランチェスコ2世には後嗣が残らなかったため、アルフォンソの系統が家督を引き継いでいますが、二家系の間での権力争いも続いています。こうした歴史的な経緯は、イタリアの南部地域における政治的文化に影響を与えているのです。

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