シッタン作戦

シッタン作戦について

シッタン作戦（しったんさくせん）は、第二次世界大戦の末期にあたる1945年の夏、ビルマ戦線において日本軍とイギリス軍との間で行われた重要な戦闘です。この作戦は、日本の第28軍がシッタン川を渡河し、ビルマ東部への撤退を試みる中で発生しました。日本側の作戦名は「邁作戦」と名付けられましたが、結果的に日本軍の損害は大変甚大なものでした。

背景

1945年3月、ビルマ戦線ではイギリス第14軍による全面的な反攻作戦が開始され、日本の緬甸方面軍はイラワジ会戦で苦杯をなめます。この頃、ビルマ国民軍も日本軍への反乱を起こし、状況は悪化の一途を辿っていました。

特に、1945年4月23日には、日本の緬甸方面軍司令部が首都ラングーンからモールメンに後退し、各部隊の動きは混乱を極めました。5月にはシッタン川防衛が崩壊し、イギリス軍がラングーンを占領しました。孤立した第28軍司令官桜井中将は、ペグー山系への籠城や機会を見ての撤退を考えていましたが、局面は厳しくなりました。

邁作戦の計画と実行

桜井中将は、「邁作戦」の検討を開始し、ペグー山系に兵力を集結させる計画を立てました。そして6月、緬甸方面軍から指示を受け、各部隊が渡河の準備を進めました。その間、日本軍の状況は通信や輸送面での制約や、イギリス軍の圧力により厳しさを増していました。

イギリス軍は、シッタン川を越えて日本軍の動きを封じ込める計画を立て、戦局を優位に進めようとしていました。作戦前に、シッタン川の橋梁は日本軍によって破壊され、イギリス軍は渡河に必要な資材が不足し混乱を極めました。

雨季の影響

シッタン作戦が行われた7月には、ビルマに雨季が到来し、作戦の実行に大きな影響を与えました。豪雨と泥濘の中、日本軍は通信不全や物資の運搬困難に直面し、状況は悪化しました。一方イギリス軍も悪天候と洪水の影響を受け、作戦の進行に苦慮することとなりました。

戦闘経過

作戦の開始は7月20日、各部隊はシッタン川を渡河するため前進しました。渡河点は数カ所に分かれ、総兵力34000人の兵士が参加しましたが、状況は厳しく、湿地やイギリス軍の攻撃に依って多くの損害が生じました。部隊間の連絡も途絶え、混乱の中で多くの兵士が溺死するという悲劇的な展開もありました。

渡河後の行動と終戦

無事に渡河が成功した第28軍は、ビリン経由でテナセリウム地区を目指しましたが、道に迷ったり体力を消耗する者が続出しました。最終的には約15000人が友軍に合流することに成功しましたが、大きな犠牲を払ったことは否めません。

結果と評価

シッタン作戦は、日本軍にとって大きな人的損失を伴った撤退戦でした。最終的な損失は推定で20000人近く、イギリス軍に比べて圧倒的な数に達します。戦後、桜井中将が指揮した第28軍の努力が称賛される一方で、戦局の厳しさをあらわにする結果となりました。戦略的には日本軍にとって無駄死にであり、直後の終戦を迎えることとなりました。この作戦は、一つの時代の終焉を示す重要な出来事として記憶されています。

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