シティ・オブ・ポートランド

シティー・オブ・ポートランド：大陸を横断した豪華列車の物語

1935年から1971年にかけて、アメリカ大陸を東西に横断する豪華旅客列車「シティ・オブ・ポートランド」が運行されました。ユニオン・パシフィック鉄道がシカゴ・ノース・ウェスタン鉄道と提携し、イリノイ州シカゴとオレゴン州ポートランド間の長距離輸送を担ったこの列車は、当時、アメリカ合衆国における鉄道旅行の象徴的な存在でした。

シカゴからポートランドへ：大陸横断の旅

「シティ・オブ・ポートランド」は、No.105とNo.106という運行番号で知られ、シカゴとポートランド間の長旅を快適に過ごせるよう、様々な工夫が凝らされていました。その豪華な客車は、多くの旅行者にとって忘れられない体験をもたらしたと言えるでしょう。列車は、広大なアメリカ大陸の風景を眺めながら、乗客を目的地へと運んで行きました。

1955年以降は、シカゴとオマハ間の運行経路が変更され、ミルウォーキー鉄道を経由するようになりました。これに伴い、シカゴでの発着駅もノース・ウエスタン駅からユニオン駅へと移転しました。これは、鉄道網の再編と効率化を目的とした変更でした。

さらに、ポートランドからは、ワシントン州シアトルへの直通寝台車が連結されることもありました。これは、複数の鉄道会社が協力して運行するコースト・プール・トレインとの連携によるもので、乗客にとって利便性の向上に大きく貢献しました。

統合と変化：他の路線との連携

「シティ・オブ・ポートランド」は、単独で運行されていたわけではありませんでした。1960年には、シカゴとネブラスカ州ノースプラット間の運行が、「シティ・オブ・デンバー」と統合されました。これは、運行効率の向上と資源の最適化を図るために行われた措置でした。

1969年には、さらに運行区間が拡大され、「シティ・オブ・サンフランシスコ」と「シティ・オブ・ロサンゼルス」との統合が行われました。これにより、シカゴから西海岸への主要都市へのアクセスが向上し、より多くの乗客を輸送することが可能になりました。この統合は、鉄道網の効率的な運用という観点からも重要な意味を持っていました。

アムトラック発足と運行終了

1971年、アメリカ合衆国において鉄道旅客輸送の改革が行われ、全米鉄道旅客輸送公社であるアムトラックが発足しました。これにより、「シティ・オブ・ポートランド」を含む多くの長距離旅客列車が運行を終了することとなりました。「シティ・オブ・ポートランド」の運行停止は、鉄道業界における大きな転換点となりました。

しかし、「シティ・オブ・ポートランド」の系譜は途絶えることはありませんでした。ほぼ同じ区間を結ぶ「パイオニア」という列車が、1981年から1997年にかけて運行されました。これは、「シティ・オブ・ポートランド」の精神を受け継いだ列車と言えるでしょう。

姉妹列車：西海岸へのアクセスを支えた列車たち

「シティ・オブ・ポートランド」には、いくつかの姉妹列車が存在しました。「シティ・オブ・サンフランシスコ」はシカゴとサンフランシスコを、「シティ・オブ・ロサンゼルス」はシカゴとロサンゼルスを、「シティ・オブ・デンバー」はシカゴとデンバーを結んでいました。これらの列車は、それぞれが異なる地域をカバーしながら、西海岸へのアクセスを支える重要な役割を果たしていました。

これらの列車たちは、それぞれの目的地へ安全かつ快適に旅行者を送迎する、当時最先端の技術とサービスを提供していました。当時の豪華客車の快適さは、現代の旅行者にとって想像を絶するものかもしれません。

参考文献

Karl Zimmermann, Domeliners, Kalmbach Publishing, 1998, ISBN 0-89024-292-5
William W. Kratville and Harold E. Ranks, The Union Pacific Streamliners, Kratville Publications, 1974
Robert J. Wayner, Passenger Train Consists 1923-1973*, Wayner Publications

これらの文献は、「シティ・オブ・ポートランド」の歴史と運行状況をより深く理解するために役立つ貴重な情報源となっています。

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