シトロエン・AX

シトロエン AXの詳細

シトロエン AXは、1986年にパリサロンで初めてお披露目された小型自動車です。このモデルは、シトロエン社が手掛けたものであり、プジョー・205と共通のプラットフォームを使用しています。また、後にはプジョー・106とも設計が共有されています。AXは様々なエンジンバリエーションを提供しており、ガソリンエンジンは1,000ccから1,400ccまで幅広く、またディーゼルエンジンも1,400ccおよび後に1,500ccのものが選べました。

デザインと構造

この車の前期型エンジンはアルミブロックで構成されていましたが、後期型においてはスチールブロックに変更されました。さらに、4WD（4×4）モデルも用意されていたのが特徴です。ボディスタイルは、3ドアと5ドアのハッチバック形式があり、乗降性に優れています。

AXに搭載されたTU型エンジンは、1980年代後半から2000年代にかけてPSAグループの多くのモデルに使用され、その信頼性とパフォーマンスで高く評価されています。ホモロゲーションモデルであるSPORTは、フェーズ1とフェーズ2に分けられており、フェーズ1はボディカラーが白のみで、13インチのホワイトスチールホイールを使用。対して、フェーズ2は白、黒、赤の3色展開で、14インチのシルバースチールホイールを装備しており、デフレクターウィングも加わるなど、外観も進化を遂げています。

環境への配慮

1993年からは電気自動車もラインナップに加わり、ニッケルカドミウムバッテリーを搭載した環境性に配慮したバージョンも発表されました。このように、AXは電気自動車開発のパイオニアとしても位置付けられています。

空力と軽量化

AXは空力特性にも優れており、cd値は0.34と非常に良好でした。テールゲートのデザインも革新的で、下半分が樹脂製、上半分がガラスという特徴的な構造は軽量化を追求したものです。この軽量設計により、欧州仕様の基本モデルはわずか640kgを記録し、燃費効率の面でも優れたパフォーマンスを発揮しました。

スポーティモデルとその進化

AXには1,400ccツインキャブエンジンを搭載したスポーツモデルも存在し、軽量ボディとサスペンションの組み合わせにより、優れた操縦性と動力性能を誇ります。ただし、キャブレター仕様のAXは、当初本国フランスでは触媒を搭載せず、日本では日本製触媒の取り付けが求められたため、一部出力が低下したモデルもあります。

1991年にはマイナーチェンジが行われ、ダブルシェブロンマークの位置やフロントバンパー、テールゲートが変更されました。1992年にはGTがマルチポイント・インジェクションシステムを搭載し、出力が95馬力に向上、GTiとして注目を博しました。1995年頃からは点火方式も現代的なデスビレスタイプに変更され、より精密なエンジン制御が可能となります。

日本市場の展開

日本市場においては、1989年から正規輸入が開始され、最上級モデルである1,400ccエンジン搭載車が3ドアと5ドアの両バリエーションで販売されました。当初のインポーターである西武自動車販売が組織化した「AXショップ」、複数のデーラーでの販売試みなどで、AXは一定の評価を得たものの、販売網の拡大には苦労しています。

日本における初期の輸入モデルには特有の仕様があり、例えばパワーウィンドウが付いていないトリムなども存在しました。最終的には様々なスペシャルモデルや限定車も登場し、合計生産台数は2,561,432台に達しました。

マレーシアでの生産

AXは1996年にマレーシアでも生産されていましたが、プロトンから「ティアラ」としてライセンス生産されました。しかし、安価で高品質な日本車の競争が激しく、成功を収めることはできなかったため、4年後の2000年には生産が終了しています。

このように、シトロエン AXはその生産期間中に様々な技術的革新やデザイン変更を経験し、今なお自動車史にを彩った特別なモデルです。

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