シドニー・リンガー

シドニー・リンガー（Sydney Ringer, 1835年 - 1910年10月14日）は、イギリスの著名な薬理学者であり医師です。彼が開発したリンゲル液は、現代医学において不可欠な輸液として広く利用されています。

生涯

リンガーは、イングランドのノーフォーク州ノリッジで生まれました。彼の兄弟もまた、国際的な舞台で活躍しました。兄のジョンと弟のフレデリックは貿易商として、それぞれ上海と長崎に渡り、特にフレデリックはトーマス・グラバーと共に日本の近代化に貢献しました。

リンガーはユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、1863年から1900年までの長きにわたり、母校の付属病院で外科医師として勤務しました。1882年には、最初の生理食塩水であるリンゲル液を開発し、医学史にその名を刻みました。

リンゲル液の開発と研究

リンガーの研究は、各種塩類が組織、特に心筋に与える影響に焦点を当てたものでした。彼は、カルシウムやマグネシウムなどのイオンが適切な比率で含まれている液は、組織を活性化し、血液の代用として有用であることを発見しました。この発見が、リンゲル液開発の基礎となりました。

また、リンガーはアルカロイドの研究にも取り組み、心筋麻酔剤の直接作用を初めて明らかにしました。これらの研究は、薬理学の発展に大きく貢献しました。

学術的な業績と晩年

リンガーは、その業績が認められ、1885年に王立協会のフェローに選出されました。1887年から1900年までは、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで臨床医学の教授を務め、後進の育成にも尽力しました。彼の著書である『治療学ハンドブック』は、当時の医学界に大きな影響を与えました。

晩年はヨークシャーで過ごし、1910年に脳卒中のためラスティンガムで亡くなりました。しかし、彼の開発したリンゲル液は、今日に至るまで世界中の医療現場で活用され、多くの人々の命を救い続けています。

参考文献

グローバル世界大百科事典

外部リンク

「リンゲル液を創った男」生理学者シドニー・リンガー伝 - ウェイバックマシン（2009年2月2日アーカイブ分）

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