シネマジック

株式会社シネマジック（CineMagic）は、1983年に設立された日本のアダルトビデオメーカーです。サン出版の社員であった吉村彰一氏によって設立されました。設立当初からSMビデオの制作に力を入れており、アートビデオと並ぶSMビデオの老舗として知られています。1980年代後半には、単体アイドル路線のAVも制作していましたが、現在ではSMモノやSM色の強いフェチモノがほとんどです。

社名は、設立当初に団鬼六のSM映画を製作したかったことに由来しており、「映画＝シネマ」と「思わぬこと＝マジック」を組み合わせたものです。第1作は、『S&M;生撮り　悦縛！愛奴A』（1983年）でした。設立当初は無審査メーカーでしたが、1985年に日本ビデオ倫理協会（ビデ倫）に加入し、審査を受けるようになりました。それまで暗く陰惨なイメージの強かったSMビデオを、美麗なパッケージで登場させ、アートビデオと人気を二分するメーカーとなりました。

1985年には、菊池エリのAVデビュー作となった『シスターL』をリリースし、大ヒットを記録。シリーズ化もされ、3作品が発売されました。1986年には、島崎梨乃の『インモラル女高生』、『魔性の柔肌』、岡本百合の『愉芽の絆』、樹まり子の『ラバーM』など、話題作を次々とリリースしました。1990年からは、「奴隷秘書シリーズ」をリリースし、矢沢ようこ、小林ひとみ、渡瀬晶といったトップ女優を起用し、SMビデオの常識を覆しました。

1992年には、森川いづみ主演の長編ドラマ『インモラル・ハート』全6本をリリースしました。2000年には、当初の夢であった団鬼六作品の映画化として、廣木隆一監督、大杉漣主演の一般映画『不貞の季節』を制作し、高い評価を受けました。2002年には、一般映画の大作『およう』を製作委員会方式で主導製作し、松竹系で公開しました。団鬼六原作、東映のベテラン関本郁夫監督、主演が世界的バレエダンサーの熊川哲也と竹中直人という豪華な組み合わせでした。

2006年には、ビデ倫を脱退し、レンタル商品は9月より、セル商品は10月よりコンテンツ・ソフト協同組合（メディ倫）の審査に移行しました。2007年7月より、流通をアウトビジョン（北都）に委託しています。SMビデオの巨匠と呼ばれる川村慎一監督が20年以上、ホームグラウンドとして撮り続けてきたメーカーでもあります。編集が終わった素材は、裏流出防止のため廃棄している徹底ぶりです。

2015年には、自社ビルをリノベーションして撮影スタジオとして稼働させました。2023年現在、SMドラマ作品に加え、フェチや男の娘などのアブノーマルよりのレーベルも運営しており、多様なニーズに応える作品を制作しています。

主なレーベルとして、「コレクト」、「ノワール（ドキュメント路線）」、「縄（ジョウ）（縛りをテーマにしている）」、「完熟」、「リリーズ（レズモノ中心）」、「ギャング(Gang)（非SM企画もの）」、「ビクセン(VIXEN)（まるかつ監督レーベル）」、「ニンフ（Nynph)（フェチレーベル）」、「陰陽（オトコノコレーベル）」などがあります。

シネマジックは、アダルトビデオ業界において、常に新しい表現に挑戦し、高品質な作品を提供し続けている、老舗メーカーです。

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