シネマ・ジャック&ベティ

シネマ・ジャック＆ベティは、神奈川県横浜市中区若葉町に所在する映画館です。名称の通り、シネマ・ジャックとシネマ・ベティという二つの異なるスクリーンを備えています。所在地は若葉町3丁目51-3、ビクセル伊勢佐木町1階にあり、京急本線の黄金町駅西口からは徒歩約5分、横浜市営地下鉄ブルーラインの阪東橋駅からは徒歩約7分というアクセスしやすい立地にあります。

この映画館の歴史は古く、前身である「横浜名画座」として1952年12月25日に開館しました。場所は第二次世界大戦後、かつてアメリカ軍の飛行場として使われていた跡地でした。近隣で営業していた「横浜日劇」とともに、地元に根差した映画館として親しまれ、特に横浜名画座は「邦画といえば名画座、洋画なら日劇」というフレーズで地域の人々の間で知られていました。

1991年には館内が大幅にリニューアルされ、それまでの1館体制から現在の2館体制へと生まれ変わります。このとき、館名も「シネマ・ジャック＆ベティ」に改称されました。リニューアル当初、ジャック館は洋画を、ベティ館は邦画を中心に上映するという形で再スタートを切りました。

しかし、長年にわたり同館および横浜日劇を経営していた中央興業有限会社が、興行不振などを理由に事業を継続できなくなり、2005年2月にシネマ・ジャック＆ベティも一時閉館を余儀なくされます。映画ファンからの強い存続を願う声が高まる中、有限会社フレンダム（当時）の手により救済され、再び開館を果たしました。この再開には、地域の活性化を目指す「黄金町プロジェクト」との連携も重要な役割を果たしています。同館が閉館を乗り越えられた背景には、当時の設備が比較的新しく、充実していた点が挙げられます。これは、同時期に閉館し、いったんはフレンダムによって存続が試みられながらも、建物の老朽化を理由に2007年4月に取り壊された横浜日劇とは対照的な経緯でした。

2007年3月には、新たに設立された株式会社エデュイットジャパンへ正式に事業が引き継がれ、同年8月から同社による運営が現在まで続けられています。かつては、ジャックが二本立ての名画座形式、ベティが単館系のロードショー形式という運用がなされていましたが、現在ではスクリーンごとの明確な区別はなくなり、両館で洋画・邦画を問わず新作のロードショー上映を主軸としています。これに加え、多様な企画上映やイベントなども積極的に開催し、独立系映画館として独自の存在感を放っています。一時期、1階にはDVDなどを上映する約20席のCafeシアターも併設されていました。

施設の近代化も進められており、2010年には経済産業省の商店街活性化事業費補助金を受け、ベティ館にデジタルシネマプロジェクター（DCP）が導入されました。さらに、2013年にはジャック館もDCPに対応し、最新のデジタル上映環境が整えられています。

現在の座席数は、ジャックが114席（うちバリアフリー席4席）、ベティが138席となっています。地域に根差した映画館として、過去の歴史を大切にしつつ、多様な作品を提供し続けることで、横浜の映画文化の一翼を担っています。

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