横浜日劇

横浜日劇



横浜日劇は、神奈川県横浜市中区若葉町に位置していた映画館です。京急本線黄金町駅から徒歩5分の場所にあり、かつては伊勢佐木町地区の西端に位置していました。1953年12月29日に開館し、当初は邦画専門館としてスタートしましたが、後に洋画専門館へと転換しました。

特徴



横浜日劇は、当時最先端のシネマスコープを導入し、正面に飾られた「CINEMASCOPE NICHIGEKI」のネオンサインが人気を博しました。洋画の話題作や名作を二本立てで安価に上映し、「洋画は日劇、邦画は名画座」というフレーズで親しまれました。隣接する名画座(現在のシネマ・ジャック&ベティ)とともに、地元の人々に愛される映画館でした。

特に、林海象監督の映画『私立探偵 濱マイク』シリーズや、同作品のテレビドラマ版の舞台となったことで全国的に知られるようになりました。昭和の雰囲気を残す外観や内装が人気を集め、遠方から訪れる映画ファンも多くいました。また、横浜市出身の作家、伊東潤も、中学時代によく利用していたと語っています。

閉館とその後



しかし、運営会社である中央興業有限会社が、経営不振により廃業を決定。シネマコンプレックスの台頭による業績悪化に加え、2004年には会長の死去や系列館の浸水被害が重なり、廃業に拍車がかかりました。同社が運営していた他の映画館も、相次いで経営譲渡や廃館となりました。そして、横浜日劇も2005年2月18日に閉館しました。

閉館後、取り壊しの話も出ましたが、地元メディアから「横浜の象徴」としての存在を惜しむ声が上がり、一旦はイベントスタジオとして再利用されました。その後、映画館としての再生も模索されましたが、耐震強度や空調設備の問題から、2007年4月に取り壊されることになりました。

取り壊し直前の同年3月17~18日には、最後の特別上映会と内覧会が開催され、多くの映画ファンが訪れました。上映会では、『濱マイク』シリーズの撮影で使用された実車も展示されました。最後の作品として上映されたのは『ニュー・シネマ・パラダイス』でした。

正面玄関に飾られていたネオンサインは横浜市に寄贈され、イベントなどで活用されています。また、もぎり台は林海象監督に寄贈され、川崎の映画スタジオに移設されました。

跡地には、2009年1月に地上10階建てのマンション「ライオンズ横濱伊勢佐木」が建設され、現在に至ります。

関連事項



シネマ・ジャック&ベティ: かつて横浜日劇を経営していた中央興業が運営していた隣接する映画館
映画・テレビドラマ『私立探偵 濱マイク』: 主人公の探偵事務所が、映画では2階部分、テレビドラマでは屋上という設定で、ロケ地として使用されました。
* 出没!アド街ック天国: 2005年2月5日放送分で横浜日劇が取り上げられました。

横浜日劇は、昭和の時代から多くの人々に愛された映画館であり、その歴史は今もなお語り継がれています。

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