シノバック・バイオテック

シノバック バイオテック リミッテッド

シノバック バイオテック リミッテッド（Sinovac Biotech Ltd.）は、中国に本拠を置く医薬品メーカーで、感染症ワクチンの開発を専門とした生物製薬会社です。北京に本社を構え、A型肝炎や、AおよびB型肝炎のワクチンをはじめ、インフルエンザ、H5N1、H1N1の鳥インフルエンザワクチンなどさまざまな製品を提供しています。さらに、パンデミックに対応するためのワクチン開発や、日本脳炎ワクチンの製造にも力を入れています。

製品ラインアップ

シノバックは、71種類のエンテロウイルスをターゲットにした研究を進めており、インフルエンザウイルスに加え、日本脳炎や狂犬病ワクチンも手がけています。また、動物用医薬品市場にも進出しており、動物用狂犬病ワクチンを開発しています。この多様な製品群は、世界中での感染症に対する予防策としての役割を果たしています。

新型コロナウイルスワクチンの開発

特に注目されているのが、新型コロナウイルスワクチンの開発です。2020年9月初旬、シノバックは新型コロナウイルスワクチンの候補として「コロナバック」を発表し、臨床試験を経て承認を得ました。このワクチンは2回の接種で90%以上の抗体を確認できるとされ、従来の不活性ワクチンの製法を採用しています。そのため、温度管理が容易で、2～8℃での保管が可能です。

コロナバックは、開発途上国に対するワクチン供給の選択肢として期待されています。中国が先行して承認したのと同時期に、インドネシア、トルコ、ブラジルでも承認を受けました。ブラジルでは、ワクチン購入を巡って政治的な対立があったものの、最終的に国家衛生監督庁（ANVISA）は他のワクチンとともにコロナバックを承認しました。その結果、サンパウロ州政府はアストラゼネカよりも早くCoronaVacの接種を始めることができました。

エビデンスと実績

ワクチンの有効性は国によって異なる結果が出ており、チリでは有症候性感染に対する有効性が66%と報告されていますが、インドネシアでは94%という数値も観察されています。両国の大統領は安全性を確認するために自ら接種を行い、インドネシアではイスラム教徒向けにハラール認証も取得しました。ブラジルでの第3相試験では有効性が50.7%であったことが報じられましたが、軽症患者に対しては83.7%の有効性を示しています。

再接種を受けた場合、有効性は62.3%まで上昇することが確認されています。このように、シノバックのワクチンはアジア、南米、北米、ヨーロッパの各国で広く使用されており、2021年4月までに年間20億回分の生産能力を持つと報じられています。

国際的な承認と供給

2021年6月1日、世界保健機関（WHO）はコロナバックの緊急使用を承認しました。また、COVAXにも採用され、3億8000万回分の購入契約を締結しています。シノバックは、自己のワクチンによって世界中の人々にワクチン接種を支援し、感染症の抑制に貢献しています。

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