シベニクの聖ヤコブ大聖堂

シベニクの聖ヤコブ大聖堂：石造建築の傑作

シベニクの聖ヤコブ大聖堂（クロアチア語: Katedrala sv. Jakova、英語: Cathedral of St. James, Šibenik）は、クロアチアのシベニクにそびえ立つカトリックの大聖堂であり、シベニク司教座が置かれています。その卓越した建築様式と歴史的価値が認められ、2000年にユネスコの世界遺産（ID963）に登録されました。

特筆すべきは、レンガや木材などの補助材料を一切使用せずに建てられた、世界最大級の石造建築であるという点です。石のみで構成された構造は、職人たちの卓越した技術と、石材に対する深い理解を物語っています。

歴史

大聖堂の建設は1402年に始まりましたが、その計画はシベニクが市として認められた1298年に遡ります。1431年には、既存の教会を改築し、現在の大聖堂を建設する工事が開始されました。このプロジェクトには、ヴェネツィアや地元の熟練職人たちが多数参加し、ゴシック様式の要素を取り入れた建造物を築き上げました。

1441年、市の大評議会は、巨匠ジョルジョ・オルシーニに工事を委託しました。オルシーニは身廊と後陣を拡張し、大聖堂をより壮大なものへと変貌させました。また、丸天井を支えるための準備を整え、外観には71個の小さな人間の頭部を含む、多様な石彫装飾を施しました。オルシーニは1475年に亡くなるまで、この大聖堂の建設に尽力しました。

1475年から1536年の間は、トスカーナ出身の巨匠、ニッコロ・ディ・ジョヴァンニ・フィオレンティーノ（「フィレンツェのニッコロ」）が建設を引き継ぎました。彼はルネサンス様式を取り入れ、丸天井、聖ミカエル、聖ヤコブ、聖マルコの像などの彫刻、屋根、ファサード上部などを完成させました。また、平行廊（triforias）を建設し、司祭館と祭壇の建設にも携わりました。1505年にフィオレンティーノが亡くなった後、ヴェネツィアと地元の職人たちが建設を引き継ぎ、最終的に完成させました。

大聖堂は1555年に正式に献堂されました。

しかし、その歴史は平穏なものではありませんでした。1991年9月、ユーゴスラビア人民軍の支援を受けたセルビア人部隊によるシベニク砲撃により、大聖堂のドームは甚大な被害を受けました。しかし、数年かけて修復作業が行われ、外観はほぼ元の状態に戻りました。

登録基準

聖ヤコブ大聖堂は、以下の世界遺産登録基準を満たし、その普遍的な価値が認められています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作: 大聖堂は、ゴシック様式とルネサンス様式が見事に融合した、石造建築の傑作です。その独創的なデザインと、石材のみで建造された技術は、人類の創造性を象徴しています。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの: 大聖堂は、異なる文化圏の建築様式や技術が交流し、融合した結果として生まれました。ゴシック様式とルネサンス様式の融合は、当時の文化交流を物語っています。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例: 大聖堂は、15世紀から16世紀にかけての建築様式や技術を代表する建造物です。石造建築の技術や、ゴシック様式からルネサンス様式への移行を示す優れた例として、その歴史的価値が認められています。

シベニクを訪れる際には、ぜひ聖ヤコブ大聖堂を訪れてみてください。石造建築の壮大さと、そこに込められた歴史と文化に触れることができるでしょう。

もう一度検索