ユーゴスラビア人民軍

ユーゴスラビア人民軍

ユーゴスラビア人民軍は、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の軍隊として、1945年にパルチザンを母体として設立されました。当初は「ユーゴスラビア軍」と呼ばれていましたが、1951年に「人民」の文字が加えられ、ユーゴスラビア人民軍となりました。冷戦時代には非同盟諸国の一角を担い、独自の軍事戦略を展開しました。

概要

人民軍は設立当初、ソ連からの多大な支援を受けていましたが、1948年以降のソ連との対立により支援が打ち切られます。その後、西側諸国との関係を改善し、軍事支援を受けるようになりました。このような背景から、人民軍はソ連と西側双方の兵器を運用する、特殊な軍隊となりました。

組織

人民軍は、陸軍、海軍、空軍、領土防衛隊から構成されていました。

地上部隊（陸軍）

陸軍は人民軍の中で最も規模が大きく、1991年には約14万人の常備兵と約100万人の予備兵を擁していました。歩兵、装甲、砲兵、対空、信号、工兵、化学部隊などが編成されていました。

海軍

海軍は、建国後に編成されました。当初は、枢軸国からの賠償として得た潜水艦や駆逐艦などを運用していましたが、1960年代にはソ連からミサイル艇や魚雷艇の供与を受けました。海軍は、クロアチア社会主義共和国のスプリトを中心に発展しました。

空軍

空軍は、人民軍の中でも特に重要な位置を占めていました。400機以上の航空戦力と200機の攻撃ヘリコプターを保有し、輸送、偵察能力に長けていました。航空戦力の多くは国産であり、ソ連のMiG-21を主力としつつ、アメリカ製のミサイルや独自の開発機も運用していました。

空軍では、ユーゴスラビアの外交方針が色濃く反映されていました。ソ連製のMiG-21を主力とする一方で、アメリカ製のミサイルを導入し、さらに国産機の開発も積極的に行いました。SOKOを拠点に、G-2 ガレブやG-4 スーパーガレブ、J-22 オラオ（ルーマニアとの共同開発）などの国産機が開発されました。

各言語表記

セルビア語: Југославенска Народна Армија
クロアチア語: Jugoslavenska Narodna Armija
スロベニア語: Juhoslovanská l'udová armáda
ボスニア語: Jugoslavenska Narodna Armija
アルバニア語: Ushtria Popullore Jugosllave
マケドニア語: Југословенска Народна Армија
セルビア・クロアチア語（ラテン文字）: Jugoslavenska Narodna Armija
セルビア・クロアチア語（キリル文字）: Југославенска Народна Армија

脚注

Cohen, Lenard J.; Dragović-Soso, Jasna (2008). State Collapse in South-Eastern Europe: New Perspectives on Yugoslavia's Disintegration. Purdue University Press.
Curtis, Glenn E., ed (1992). Yugoslavia : a country study. Washington, D.C.: Federal Research Division, Library of Congress
Dimitrijevic, Bojan (1997). “The mutual defense aid program in Tito's Yugoslavia, 1951–1958, and its technical impact”. Journal of Slavic Military Studies 10 (2): 19–33.
Razvoj Oruzanih Snaga SFRJ [The Development of the Armed Forces of the Socialistic Federative Republic of Yugoslavia], Vols.3-2, The Ground Forces （Belgrade 1987）.
* Trifunovska, Snezana (1994). Yugoslavia Through Documents: From Its Creation to Its Dissolution. Martinus Nijhoff Publishers.

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