シベール

株式会社シベール



株式会社シベールは、山形県山形市に本社を置く、パン洋菓子などの製造販売や飲食事業を手掛ける企業です。株式会社ASフーズの100%子会社であり、山形県内を中心に店舗を展開しています。本稿では、同社本社敷地内に所在する東ソーアリーナについても記述します。

概要



株式会社シベールは、1966年に熊谷眞一氏によって創業されました。当初は洋菓子店としてスタートしましたが、売れ残りのフランスパンをラスクとして販売したことがきっかけで、贈答用ラスクの販売で成功を収めました。この成功により、異例の株式公開も果たしましたが、ラスクブームの終焉とともに経営は悪化。2017年には2期連続の赤字を計上し、経営改革を余儀なくされました。

経営効率化のため、不採算店舗の閉鎖や東京圏からの撤退などの施策を実施。集客効果の高いパンと収益率の高い菓子を柱に、仙台圏での知名度向上と黒字化を目指しました。しかし、2018年8月期も赤字となり、2019年1月には民事再生法の適用を申請。当時の社長は、「ラスクの成功体験から抜け出せなかった」と述べています。

その後、事業譲渡が行われ、旧株式会社シベールは株式会社つばさに商号変更し、法人格が消滅しました。事業を引き継いだ新株式会社シベールは、株式会社ASフーズの子会社として再スタートを切りました。

新生シベール



民事再生スポンサーには、複数の企業が名乗りを上げましたが、最終的に山梨県に本社を置く株式会社ASフーズが選定されました。ASフーズは、旧シベールの事業を譲受する新会社として株式会社シベールを設立し、2019年6月に全事業を譲り受けました。

会社の社長には、ASフーズの小田切一哉社長が就任。「シベールのラスクや焼き菓子を、ASフーズの販路で展開することで相乗効果が期待できる」とのコメントを発表しました。また、旧シベールの工場稼働率が低かったことも課題として指摘し、工場の効率化にも取り組んでいます。現在では、直営店だけでなく、ASフーズのブランドを通じて一般販路でも販売を行っています。

主な製造販売品



ラスクフランス(主力商品)
生ケーキ
フランスパン、惣菜パン
焼菓子
生チョコレート
バウムクーヘン
生そば、干しそば

沿革



旧株式会社シベール(株式会社つばさ)



1966年10月: 熊谷眞一が洋菓子店「シベール」を創業。
1970年10月: 有限会社「シベール」設立。
1981年11月: 株式会社「シベール」となる。
2000年2月: 本社を山形市蔵王松ケ丘に移転。
2004年10月: 東京都港区南青山に「麦工房 東京店」を開設。
2005年7月: JASDAQ上場。
2006年2月: 仙台圏の洋菓子製造工場を川崎町に移転新築。
2007年9月: 富山県富山市に「麦工房 富山店」を開設。
2008年9月: ファクトリーパーク内に複合施設「シベールアリーナ&遅筆堂文庫」を開設。
2010年5月: 佐島清人専務が社長に昇格。
2015年11月: 黒木誠司専務が社長に昇格。
2019年1月: 山形地裁へ民事再生法適用を申請。負債19億6200万円。
2019年2月: 山形地裁から民事再生手続開始決定。
2019年2月: JASDAQ上場廃止
2019年6月: ASフーズが設立した新会社へ全事業を譲渡し、本店所在地を山形市あこや町へ移転。旧シベールは民事再生手続継続。
2019年7月: 再生計画案を山形地裁に提出。
2019年9月: 山形地裁から民事再生計画の許可。
2019年11月: 発行済全株式を無償で取得し、全株式を償却。
2020年7月: 旧シベールの商号を株式会社つばさへ変更。
2020年10月: 株式会社つばさの法人格が消滅。

新株式会社シベール



2019年4月: ASフーズが民事再生スポンサーに選定。新会社を設立。
2019年6月: 新会社が旧会社から全事業を譲受し、営業開始。同時に新社の本店所在地を山形市へ移転。
2022年10月: 株式会社セゾンファクトリーを傘下に。

店舗



現在、山形地区に11店舗、仙台地区に8店舗を展開しています。

東ソーアリーナ



東ソーアリーナは、山形市にある複合施設です。劇作家井上ひさし氏が構想し、旧シベールの創業社長である熊谷眞一氏が共感したことで、2008年に同社敷地内に建設されました。劇場や井上ひさし氏の蔵書が並ぶ「遅筆堂文庫山形館」などが入っています。

当初は「シベールアリーナ」という名称でしたが、シベールの経営破綻により資金難に陥り、存続が危ぶまれていました。その後、東ソー株式会社命名権を取得したことで、「東ソーアリーナ」と名称が変更されました。東ソー株式会社は、山形県にゆかりのある企業であり、地域貢献の一環として支援を決定しました。現在は、公益財団法人「弦地域文化支援財団」が運営を行っています。

外部リンク



シベール
シベールオンラインショップ
* 東ソーアリーナ&遅筆堂文庫

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