シボレー・コルベット C5-R

シボレー・コルベット C5-R：GTレースを席巻した名車

シボレー・コルベットC5-Rは、プラット＆ミラーとシボレーが共同開発した、耐久レースに特化したGTカーです。ベース車両はシボレー・コルベットC5ですが、モータースポーツ専用に設計された、正真正銘のレーシングマシンと言えるでしょう。

開発の背景

[ゼネラルモーターズ]は、コルベットブランドの世界展開、特にル・マン24時間レースでの成功を目指し、ワークスチームの設立を決定しました。これまで、GMはコルベットのファクトリーサポートに消極的でしたが、生産車ベースのレーシングカーを用いて、新型コルベットのパフォーマンスを世界に示す戦略に転換しました。当時、ダッジやポルシェがGTカテゴリーを席巻していた中、GMは強力なライバルに対抗すべく、コルベットC5-Rの開発に着手しました。

製造と改良

車両の製造と開発は、ミシガン州のプラット＆ミラー社が担当。1999年のデビューを目指し、ライリーアンドスコットと共にレーシングチームを編成しました。当時のレギュレーションにより、ロードカーからの部品使用は制限されていたため、プラット＆ミラーとGMはロードカーを大幅に改造し、テスト車両として使用。エンジンやその他の機器の性能評価を実施しました。

レース用シャーシは、ロードカーの主要構造部を一部流用する形で製作されました。防火壁はコックピット後部に設置され、後方視界は犠牲に。空力性能向上のため、大型のディフューザーとウィングが後部に、スプリッターとエアベントが前部に追加されました。また、リトラクタブルヘッドライトは固定式に変更されています。

初期のC5-Rは、6.0L V8エンジンを搭載していましたが、1999年シーズン中には7.0Lに排気量アップ。これが標準エンジンとなり、ケテック・エンジン・デベロップメント社が製造しました。

1998年から2004年にかけて、プラット＆ミラー社は11台のC5-Rシャーシを製造。コルベット・レーシングチームが10台、個人所有用が1台です。テスト車両として12台目のフレームも製造されています。

長年の参戦を通して、C5-Rは継続的に改良されました。空力性能向上のためのボディワークの変更、冷却性能向上のためにフードデザインの変更など、細かな改良が積み重ねられました。ドライバーの快適性向上を目的とした空調システム、リアビューカメラとモニターの導入など、人間工学的な改善も進められています。

レース戦績

コルベットC5-Rは、コルベット・レーシングチームによって、数々のレースで素晴らしい成績を残しました。

1999年: デイトナ24時間レースで総合18位、セブリング12時間レースで総合23位。
2000年: デイトナ24時間レースで総合2位。ALMSでは複数レースで優勝。
2001年: デイトナ24時間レースで総合優勝。ALMSでチームチャンピオンを獲得。ル・マン24時間レースでクラス優勝。
2002年: ALMSで9勝を挙げ、ル・マン24時間レースでクラス優勝。
2003年: ALMSで3度目のチームチャンピオンを獲得。
2004年: ALMSで4連覇達成。ル・マン24時間レースでクラス優勝。

コルベット・レーシングチームは、C5-RでALMSで31勝、ル・マン24時間で3勝、デイトナ24時間で1勝を記録しました。

プライベートチームの活躍

2003年以降、コルベットC5-Rはプライベートチームにも販売され、様々なレースで活躍しました。セレスラグ・レーシングチームはベルカー選手権で優勝、パシフィックコースト・モータースポーツはALMSに参戦、GLPK-カースポーツはFIA GT選手権で活躍しました。他にも多くのチームがC5-Rを使用し、その性能の高さを証明しています。

まとめ

シボレー・コルベットC5-Rは、高い性能と信頼性を兼ね備えた、成功したレーシングカーです。ワークスチームだけでなく、プライベートチームも巻き込み、GTレースの歴史に大きな足跡を残しました。その活躍は、多くのファンに感動と興奮を与え続け、モータースポーツ史上に名車として刻まれています。

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