シボレー・タホ

シボレー・タホ（Chevrolet Tahoe）は、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が製造し、シボレーブランドで販売しているフルサイズSUVです。

概要

GMはかつてから、シボレーでは1969年から「ブレイザー」、GMCでは1970年から「ジミー」という名称でSUVを展開していました。これらのモデルは基本的な構造を共通とする兄弟車であり、シボレー・サバーバンやGMC・ユーコンXLといった、より長いホイールベースを持つ派生モデルが存在しました。

1992年にはGMCのジミーが「ユーコン」に、そして1995年にはシボレーのブレイザーが「タホ」へと名称が変更されました。この改名にあたって、タホという名前はカリフォルニア州とネバダ州の境界にあるタホ湖から、ユーコンはカナダ北部のユーコン準州からそれぞれ命名されています。この名称変更と同時に、それまでコンパクトSUVとして展開されていたS-10ブレイザーやS-15ジミーは、単に「ブレイザー」「ジミー」と改められました。これらのコンパクトSUVは、2005年に本国での生産を終えましたが、フルサイズSUVであるシボレー・タホとGMCユーコンは、現在も最新モデルが生産・販売されています。

日本市場においては、1992年4月にヤナセが後のタホとなるブレイザー・シルバラード（型式 E-CK15B）の正規輸入を開始しました。その後、1995年6月にはS-10ベースのブレイザー（型式 E-CT34G）が導入された際、既存のE-CK15Bは型式を変更せずに「タホスポーツ」として販売されました。当時の本国には5ドア仕様のタホや3ドア仕様のブレイザーなども存在しましたが、これらが日本へ正規に輸入されることはありませんでした。また、兄弟車であるGMCブランドのモデルも、日本市場へ正規導入された例はありません。

各世代

初代（1991年 - 2000年）

1991年に発売された初代タホは、当初は3ドアモデルのみの設定でした。1995年になり5ドアモデルがラインナップに追加され、翌1996年には「トラック・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。この初代タホ、兄弟車のユーコン、そしてサバーバンは、全てGMT400プラットフォームを基盤としていました。このプラットフォームは、シボレー・C/Kなどのフルサイズピックアップトラックにも使用されていた、本格的なトラック由来のシャシー構造を持っていました。駆動方式はFRとAWD、エンジンはV8ガソリンエンジンに加え、デトロイトディーゼル社製のV8ディーゼルエンジンも選択可能でした。
メキシコ市場では、1995年に3ドアのタホが「シルバラード」として投入され、1998年には5ドアモデルが加わりました。2000年にGMT800プラットフォームをベースとする次世代SUVが登場した後も、2WD仕様のタホ・リミテッドが一部の顧客の要望に応える形で生産が続けられました。

2代目（2000年 - 2006年）

2000年に登場した2代目では、先代の5.7L V8エンジン（最高出力255PS）から、より小型ながら高出力な4.8L（最高出力270PS）および5.3L（最高出力285PS）の2種類のV8エンジンへ変更されました。この世代からマニュアルトランスミッションの設定は廃止されています。メキシコでは引き続き「シボレー・ソノラ」の名で販売されました。内外装のデザインも一新され、特にボディは空力性能を考慮した流麗なラインが特徴となりました。2003年モデルでは、横滑り防止装置である「スタビリトラック」が初めて採用されています。2004年モデルでは5.3Lエンジンの最高出力が295PSに向上しました。

3代目（2007年 - 2014年）

2005年末に2007年モデルとして発売されました。この世代では、2005年にGMとクライスラーが合意したハイブリッドシステムの共同開発に基づき、タホにもハイブリッドモデルが設定されました。環境性能が評価され、同年11月にはロサンゼルスオートショーで「グリーン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。メキシコ市場では、この3代目から初めて「タホ」という名称が使われるようになりました。

4代目（2014年 - 2020年）

2013年9月にニューヨークで新型モデルとして発表され、翌2014年2月に販売が開始されました。このモデルの特徴は、「エコテック3」と呼ばれる直噴5.3L V型8気筒ガソリンエンジンを搭載している点です。低負荷走行時には一部のシリンダーを停止させる気筒休止システムを採用しており、これにより市街地での燃費が約7%、高速道路での燃費が約10%と、先代モデルから燃費性能が向上しました。

5代目（2020年 - 現在）

5代目タホは、2019年12月10日にミシガン州デトロイトで披露されました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、アーリントン工場での生産開始は2020年5月18日に遅れ、ディーラーへの納車も6月に入ってからとなりました。搭載されるエンジンラインナップは兄弟車であるサバーバンと共通で、約20年ぶりに燃費性能に優れたディーゼルエンジンが復活したことが注目されます。グレード構成には、「RST」、「ハイカントリー」、「Z71」などが用意されています。

日本国内における販売

初代タホの3ドアモデルは、ヤナセによってごく少数が正規輸入された記録があります。また、5ドアモデルも並行輸入業者によって日本に持ち込まれています。2代目モデルは正規輸入されませんでしたが、相当数の車両が並行輸入によって流通しました。3代目モデルは、2008年 2月より三井物産オートモーティブが正規輸入を手がけました。正規輸入された車両は、日本の型式認証を取得するためにサイドアンダーミラーが装着されているのが特徴でした。

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