シボレー・ボルト (ハイブリッドカー)

シボレー・ボルト：プラグインハイブリッド車の歴史

[ゼネラルモーターズ]が製造・販売していたプラグインハイブリッドカー「シボレー・ボルト」について解説します。同時期に販売されていた電気自動車「シボレー・ボルトEV」と名称が似ているため混同されがちですが、両者は全く異なる車種です。本記事では、シボレー・ボルトの開発から販売終了までの歴史、性能、そして社会的な影響について詳しく見ていきます。

初代シボレー・ボルト (2010-2015年)

初代モデルは2008年9月、GM創立100周年記念式典で発表されました。注目すべきは、その燃費性能です。発表当初、約98km/Lという驚異的な数値が謳われましたが、これはバッテリーフル充電状態での測定値であり、他の車両との単純比較はできません。アメリカ環境保護局の公式調査では、ガソリン換算で1ガロンあたり93マイルという結果でした。これは、同時期の電気自動車である日産リーフの99マイルを下回るものでした。

充電には家庭用110V電源で約8時間を要しました。バッテリー残量が少なくなるとエンジンが始動し、発電と充電を行う仕組みでしたが、これが純粋な電気自動車ではないという議論を招くこととなりました。2010年末にはカリフォルニア州で発売開始、ヨーロッパ市場ではオペル・アンペラ、ボクスホール・アンペラとして販売されました。製造はアメリカ合衆国ミシガン州ウォーレン工場で行われ、2010年4月23日にはオペル・アンペラのプリプロダクションモデルがラインオフしました。同年北京モーターショーでは、ミニバン型の派生モデル「シボレー・ボルトMPV5コンセプト」も公開されています。

販売面では当初苦戦し、2011年の販売目標1万台に対し、7671台にとどまりました。2012年には一時生産休止に追い込まれましたが、その後販売は好転し、同年中にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、高い評価を獲得しました。しかし、2012年1月にはリチウムイオン電池の発火の可能性が懸念され、自主的な改修措置が行われています。

公的機関への採用も特筆すべき点です。2011年7月、ニューヨーク市は消防局や警察など、50台のシボレー・ボルトを採用しました。これらの車両は、緊急性の低い任務に使用されました。

2代目シボレー・ボルト (2015-2019年)

2015年1月、デトロイトモーターショーで2代目モデルが初公開されました。2015年11月には「2016グリーンカーオブザイヤー」を受賞。2016年8月には累計販売台数が10万台を突破しました。しかし、2018年11月に生産終了が発表され、2019年2月に生産を終了しました。

シボレー・ボルトとシボレー・ボルトEV

最後に、シボレー・ボルトと、電気自動車のシボレー・ボルトEVの違いを明確にしましょう。両者は名前が似ていますが、全く異なる車種です。シボレー・ボルトはプラグインハイブリッドで、ガソリンエンジンとモーターの両方で走行できます。一方、シボレー・ボルトEVは純粋な電気自動車です。この違いを理解することが重要です。

まとめ

シボレー・ボルトは、プラグインハイブリッドカーの先駆けとして、環境問題への取り組みを象徴する一台でした。その技術革新と市場での成功、そして失敗から得られた教訓は、今日の自動車産業の発展に貢献していると言えるでしょう。 市場のニーズや技術革新の速さ、そして競合他社の台頭など、様々な要因がその歴史を彩っています。 本稿では、シボレー・ボルトの歴史を詳細に振り返ることで、その技術的側面や市場における位置づけを改めて認識し、今後の自動車産業の動向を考える上で貴重な示唆を提供することを目的としています。

もう一度検索