シマユキ

シマユキ：中山大障害制覇の軌跡

シマユキは、1955年秋の中山大障害を制した名馬として知られています。その競走生活は、平地競走での奮闘から始まり、障害競走への転向、そして数々の激戦を経て、最終的に大きな勝利を掴むまでのドラマチックなものでした。本稿では、シマユキの生涯を詳細にたどり、その魅力に迫ります。

出自と初期の経歴

シマユキの父はセフト、母はサラ系の安俊です。4代母は血統不詳のミラという、謎めいた血統背景を持っています。半妹のセイシユンの仔には、ヒカルイマイという競走馬も存在しました。

1952年、3歳の時にワカトモという名前で国営競馬に登録されましたが、3歳時は出走せず、翌4歳1月にシマユキと改名して中山競馬場でデビュー。その後9ヶ月間で平地競走に26回出走し、3勝を挙げました。東京優駿では33頭中19着、函館記念では9頭中8着と、目覚ましい活躍とはいきませんでしたが、オープン競走で3度の2着に入るなど、潜在能力の高さを示唆する結果を残しました。10月には60万以下の競走で最下位に終わり、転機となる障害競走への転向を決断します。

障害競走への転向と活躍

11月6日、シマユキは障害競走にデビュー。2戦目で初勝利を挙げると、5戦目にも勝利し、その後はオープン競走に挑戦しました。当時は地方競馬への馬資源の流出が深刻で、多くの競走で5頭以下の少頭数での競争が常態化していました。競争相手も固定化されやすい状況の中、シマユキは1954年6月までにオープン競走で4勝を挙げました。7月と8月には北海道で平地と障害競走に出走し、秋には京都大障害を目指して西下。近藤武夫騎手を背に前哨戦を制しましたが、京都大障害では4着に終わりました。

中山大障害制覇

1955年、見習い騎手の飯塚好次騎手が主戦騎手となり、年始は連勝スタート。しかし春シーズンは6戦全てで連対を外してしまいます。秋シーズンには馬主が柴谷正雄氏から小野仁助氏へと交代。平地競走に出走しましたが、思うような結果が出ず、再び障害競走へ。そして3戦目、ついにシマユキは中山大障害への挑戦権を得ました。

中山大障害では、関西馬ダイニカツフジが圧倒的な1番人気。シマユキは6頭立ての最低人気という立場でした。レースはダイニカツフジが逃げ、カネノボルが2番手。終盤でシマユキが一気にスパートし、直線手前で先頭に立ちます。ダイニカツフジも猛追しますが、シマユキは3/4馬身差で勝利を掴みました。単勝オッズは1550円という、戦後最大級の大穴的中となりました。

引退後

中山大障害制覇後、シマユキは中山で2戦に出走しましたが、斤量の壁に阻まれ勝利することはできませんでした。1956年1月3日、登録を抹消して地方競馬に移籍。中央競馬では実質3年間、ほぼ休みなく71戦を戦い抜いた、その長く激しい競走生活に幕を閉じました。シマユキの競走成績は、1953年10月以前の平地競走で26戦3勝という結果が残っています。

参考文献

* 日本中央競馬会 『優駿』 1955年11、12月号

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