シモツケ

シモツケ（下野）

シモツケ（学名：Spiraea japonica）は、バラ科シモツケ属に分類される落葉低木の一種です。日本の山地に自生し、その美しい花姿から庭木としても広く利用されています。別名としてホソバシモツケ、キシモツケ（木下野）などがあります。

名前について

属名のSpiraeaは、ギリシャ語で「螺旋」を意味し、果実の形状に由来します。種小名のjaponicaは「日本の」という意味です。和名のシモツケは、最初に発見された場所が下野国（現在の栃木県）であったことに由来します。

分布と生育環境

シモツケは、日本、朝鮮半島、中国西北部にかけての温帯地域に分布しています。日本では、北海道、本州、隠岐諸島、四国、九州に分布し、日当たりの良い草地や岩礫地などに生育します。チョウの仲間であるホシミスジやフタスジチョウの幼虫が食草とし、フタスジチョウの成虫が花の蜜を吸います。

特徴

シモツケは落葉広葉樹の低木で、株立ち状に成長し、樹高は0.2〜1mになります。若い枝は暗褐色から茶褐色をしており、成長とともに灰褐色または暗褐色に変化します。樹皮はなめらかで、縦に裂けて剥がれます。葉は単葉で互生し、披針形、卵形、または広卵形をしています。葉の縁には不揃いの重鋸歯があり、表面は緑色で、裏面は淡緑色または粉白色をしています。

開花時期は5〜8月で、本年枝の先に複散房形の花序を形成し、多数の小さな花を咲かせます。花は両性花で、香気があり、色は濃紅色、紅色、薄紅色、まれに白色などがあります。花弁は5個で、雄蕊は多数あり、花弁よりも長いです。果実は袋果で、9〜10月に熟し、裂開して種子を散布します。冬でも枯れた果序が枝先によく残ります。

冬芽は卵形や長卵形で、褐色の鱗芽に覆われています。

利用

シモツケは、庭木、公園樹、鉢植えとして利用されるほか、盆栽や切り花としても楽しまれています。

分類

シモツケには、いくつかの変種や品種が存在します。

ドロノシモツケ：小型で無毛の変種。川岸に生育します。
オヤマシモツケ
シロバナシモツケ：白い花を咲かせる品種。
コシモツケ：矮性の品種。
ウラジロシモツケ
ヒメシモツケ

その他、黄金葉などの栽培品種も存在します。

種の保全状況評価

シモツケは、多くの都道府県でレッドリストに指定されており、ニホンジカの食害による個体数減少が懸念されています。変種のドロノシモツケも、複数の県でレッドリストに指定されています。

シモツケとシモツケソウ

シモツケソウは草本であり、シモツケ（木下野）は木本であるという違いがあります。

シモツケは、その可憐な花姿と育てやすさから、庭木として長く愛されています。春から夏にかけての開花期には、庭を華やかに彩り、訪れる人の心を和ませてくれるでしょう。

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