シモツケ亜科

シモツケ亜科とは

シモツケ亜科（Spiraeoideae）は、かつてバラ科の下位分類である亜科の一つとして認識されていました。しかし、近年の分子系統学的研究の進展により、その分類学的位置づけは大きく変化しています。

歴史的背景

古典的な分類におけるシモツケ亜科は、シモツケ、ユキヤナギ、コデマリなどの植物を含んでいました。しかし、系統解析の結果、リンゴ亜科（またはナシ亜科）やサクラ亜科（またはモモ亜科）といった他の亜科を内包する側系統であることが判明しました。つまり、シモツケ亜科としてまとめられていた植物群は、共通の祖先から進化した単一のグループではなかったのです。

分類の変化

この問題を解決するため、従来のシモツケ亜科、リンゴ亜科、サクラ亜科などを統合し、一つの大きな亜科として扱うようになりました。当初、この新しい亜科はシモツケ亜科と命名されましたが、命名規約の優先順位に基づき、より古い名称であるサクラ亜科（Amygdaloideae）が採用されました。

特徴

古典的なシモツケ亜科に属していた植物は、一般的に以下のような特徴を持っていました。

すべて低木である
心皮は2～5個が離生し、子房上位である
果実は袋果または蒴果で、種子を数個含む

属

現在の連に基づいたシモツケ亜科（とされていた）植物の属を以下に示します。ただし、分類は研究者によって異なる場合があることに注意してください。

ネイリア連
テマリシモツケ属（フィソカルプス属） Physocarpus
ネイリア属 Neillia
コゴメウツギ属 Stephanandra - コゴメウツギ
ヤナギザクラ連の一部
ヤナギザクラ属（エクソコルダ属） Exochorda ※モモ亜科（サクラ亜科）とも
ホザキナナカマド連
Adenostoma ※バラ亜科とも
ホザキナナカマド属 Sorbaria
Chamaebatiaria
Spiraeanthus
シモツケ連
ヤマブキショウマ属 Aruncus - ヤマブキショウマ
Kelseya
Luetkea
Petrophyton (Petrophytum)
Sibiraea
シモツケ属 Spiraea - シモツケ、ユキヤナギ、コデマリ
Xerospiraea
Holodiscus
連未定（ナシ連に近縁）
ギレニア属 Gillenia*

注意点

クロンキスト体系など、古い分類体系ではシモツケ亜科に入れられていたキラヤ属は、現在では独立のキラヤ科として扱われています。また、上記リストの※印が付いた属は、研究者によってはシモツケ亜科から除外されることがあります。

まとめ

シモツケ亜科は、かつてはバラ科の一つの亜科として認識されていましたが、系統学的研究の進展により、その分類は大きく変化しました。現在では、サクラ亜科に統合される形で、その名残をとどめています。しかし、シモツケ亜科に属していた植物群は、依然として多様な形態と生態を示しており、植物学の研究対象として重要な位置を占めています。

もう一度検索