シャルル・ド・ブロワ

シャルル・ド・ブロワ：激動の時代を生きたフランス貴族

シャルル・ド・ブロワ（1319年 - 1364年9月29日）は、中世フランスの貴族であり、シャティヨン家の出身です。父はブロワ伯ギー1世・ド・シャティヨン、母はマルグリット・ド・ヴァロワ（ヴァロワ伯シャルルの娘でフランス王フィリップ6世の妹）という家柄でした。彼はマイエンヌ男爵、ギーズ領主でしたが、ジャンヌ・ド・パンティエーヴルとの結婚によって、パンティエーヴル伯およびブルターニュのベリストル（摂政位）という地位も手に入れることになります。

ブルターニュ継承戦争への参戦

1337年6月4日、シャルルはパリでジャンヌ・ド・パンティエーヴルと結婚しました。ジャンヌはパンティエーヴル伯ギーの娘であり、ブルターニュ公ジャン3世の姪、アルテュール2世の孫娘にあたります。この結婚の条件として、シャルル・ド・ブロワは、後継者のいなかったジャン3世の後を継いで公位を継承することが定められました。

しかし、ジャン3世は生前に明確な後継者を指名しなかったため、1341年に彼の死後、ブルターニュ公位を巡って2つの勢力が対立し、23年にも及ぶブルターニュ継承戦争が勃発します。コンフランの裁定によって、フランス王フィリップ6世は甥であるシャルルをブルターニュ摂政および公として認定し、彼の忠誠を受け入れました。しかし、ジャン3世の異母弟でジャンヌの叔父にあたるジャン・ド・モンフォールもまた、自らが公国の正当な継承者であると主張したのです。

1341年10月、シャルルはノルマンディー公ジャン（後のジャン2世）と共に、ジャン・ド・モンフォールに対して公国の権利を主張するために進軍を開始しました。1344年にはカンペールを攻略するなど、当初は優勢に進めていましたが、1347年6月18日、ラ・ロッシュ＝デリアンの戦いでイングランド軍の捕虜となってしまいます。シャルルがロンドン塔に投獄されている間、妻のジャンヌ・ド・パンティエーヴルは、ジャン・ド・モンフォールの妻であるジャンヌ・ド・フランドルと激しい戦いを繰り広げました。

イングランドで約9年間捕われの身となったシャルルは、1356年8月10日にようやく釈放されます。ただし、釈放にあたっては70万フローリンという巨額の身代金を支払うことが条件とされ、彼が戦死するまでに一部が支払われました。

この長く続いた戦いにおいて、フランス王家はブロワ側を支持し、イングランド側はモンフォール側を支援しました。そして、開戦から23年後の1364年9月29日、シャルルはオーレの戦いで戦死を遂げます。この戦いがきっかけとなり、翌1365年にゲランド条約が締結され、ジャン・ド・モンフォールの息子がブルターニュ公ジャン4世として認められることになりました。これにより、モンフォール家がブルターニュ公位を継承し、その血統が絶えた場合には、シャルルとジャンヌ・ド・パンティエーヴル夫妻の子孫に継承権が移ることなどが定められました。

列福

ロンドン塔での約9年間にわたる献身的な生活が評価され、1904年にシャルルはカトリック教会によって列福されました。

子女

シャルルはジャンヌ・ド・パンティエーヴルとの間に、以下の子供たちをもうけました。

ジャン1世・ド・シャティヨン（1340年 - 1404年） - パンティエーヴル伯
ギー - イングランドに人質として送られ、当地で死去
アンリ（1400年没）
マリー（1345年 - 1404年） - アンジュー公ルイ1世・ダンジューと結婚
* マルグリット（1353年没） - 1351年にアングレーム伯シャルル・ド・ラ・セルダと結婚

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