シャルル・パスクワ

シャルル・パスクワ：レジスタンスから内務大臣へ、そして波乱の政治家人生

シャルル・パスクワ(1927-2015)は、20世紀後半フランスを代表する政治家の一人です。レジスタンス活動から始まり、内務大臣として手腕を発揮、政界での複雑な駆け引きや数々の汚職疑惑、サルコジとの関係など、波乱に満ちた人生を送りました。彼の生涯は、1990年代フランス政治史を理解する上で欠かせない要素となっています。

1927年、アルプ＝マリティーム県グラースで、コルシカ出身の警察官の父と母との間に生まれました。15歳からナチス占領下のフランスでレジスタンス活動に参加。戦後、法律を学んだ後、酒販売のセールスマンとしてキャリアをスタートさせます。叩き上げの実業家としての経験が、後の政治活動の基盤となりました。

1968年、ド・ゴール主義政党である共和国民主連合(UDR)に参加。UDRの警備組織である市民行動サービス(SAC)の創設にも関わりました。その後、ジャック・シラクの顧問となり、1981年の大統領選挙ではシラク陣営で重要な役割を果たします。

パスクワの政治的転機は、内務大臣への就任でした。彼はフランソワ・ミッテラン政権下で二度、内務大臣を務めます。特にバラデュール内閣時代には、治安回復に注力。強硬な姿勢で知られる「パスクワ法」を制定し、党内での発言力を強めました。

シラクとの関係は複雑でした。当初は強い連携関係にありましたが、正統的ゴーリストを自認するパスクワと、政治的戦略を優先するシラクとの間には次第に溝が深まります。1995年の大統領選挙ではシラクから離反し、バラデュール首相を支持。新党を結成しましたが、選挙では敗北を喫します。

その後も、欧州懐疑論者の立場から政治活動を続けました。1999年にはフランス・ヨーロッパ独立連合を結成。欧州議会選挙では一定の成果を収めますが、政治的同盟は長く続きませんでした。1988年から2004年までオー・ド・セーヌ県議会議長を務め、2004年には元老院議員に選出されました。

しかし、パスクワの政治家人生は、数々の汚職疑惑に彩られています。アフリカ諸国への援助金絡みの疑惑や、オー・ド・セーヌ県での公共事業関係の疑惑などが取り沙汰されました。イラクのフセイン政権との関係についても、様々な憶測が飛び交いました。

ニコラ・サルコジとは、1975年のサルコジのオー・ド・セーヌ県議会議員当選以来、非常に強い関係を築きました。サルコジ自身もパスクワを高く評価しており、二人の関係はフランス政界における重要な要素の一つでした。

2015年、パリ近郊で心臓発作のため88歳で死去しました。彼の死は、フランス政界に大きな衝撃を与えました。レジスタンス活動から始まり、内務大臣、そして欧州懐疑論者として活躍したシャルル・パスクワ。彼の複雑で波乱に満ちた人生は、今後もフランス政治史において議論の的となるでしょう。彼の政治的遺産は、賛否両論ありますが、20世紀後半のフランス政治を語る上で無視することはできません。

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