シャルル4世 (ロレーヌ公)

シャルル4世 (ロレーヌ公)

シャルル4世（1604年4月5日 - 1675年9月18日）は、17世紀のロレーヌ公です。その生涯は、政治的陰謀と戦争に彩られたものでした。ドイツ語名ではカール4世とも呼ばれます。

生涯

シャルル4世は、ロレーヌ公フランソワ2世とザルム女伯クリスティーナの息子として生まれました。ロレーヌ公ニコラ2世の兄であり、フランス王ルイ13世の弟であるオルレアン公ガストンの妃マルグリットの兄でもあります。

公位継承

1621年、シャルル4世は伯父アンリ2世の娘で従妹のニコルと結婚しました。1624年にアンリ2世が亡くなると、ニコルと共にロレーヌ公位を継承します。しかし、サリカ法に基づいて相続が見直され、1625年には父フランソワ2世が一旦公位に就き、数日後にシャルル4世に譲位するという形で、改めてシャルル4世が単独で公位を継承しました。

フランスとの関係

1631年、フランスでルイ13世の母マリー・ド・メディシスと弟のオルレアン公ガストンが政争に敗れ、ロレーヌに逃れてきました。シャルル4世はガストンを匿い、妹マルグリットとガストンを結婚させましたが、これがフランスの怒りを買い、フランス軍の侵攻を招きます。シャルル4世は降伏を余儀なくされ、フランスに譲歩することになりました。1634年には、スペイン領ネーデルラントからの支援を受けて反乱を起こしましたが、フランス軍によって鎮圧され、弟のニコラ2世に公位を譲り、神聖ローマ皇帝フェルディナント2世の下へ亡命しました。

三十年戦争

亡命後、シャルル4世は三十年戦争においてオーストリア軍の将軍として活動しました。この戦争での彼の役割は、ロレーヌ公としての地位を取り戻すためのものでもありました。

フロンドの乱と復位

1652年、フランスのフロンドの乱に介入しましたが、これは失敗に終わりました。1661年、ニコラ2世から公位を譲られ、ロレーヌ公に復帰しますが、1670年にはフランスによって公国が占領され、ロレーヌ家は公国を取り戻すことができませんでした。

オランダ侵略戦争と最期

オランダ侵略戦争では、皇帝軍の一員として参戦し、1675年にコンザールブリュックの戦いでフランスの将軍クレキを破り、トリーアを陥落させ、クレキを捕らえました。しかし、その同じ年、71歳で死去しました。公位は甥のシャルル5世が継承しました。

補足

シャルル4世は、「シャルル3世」と呼ばれることもありますが、これは下ロレーヌ公シャルルを数えない場合の呼び名です。

結婚と子女

シャルル4世は生涯で3度の結婚をしました。

1. 1621年、ニコルと結婚しましたが、1635年に離婚しました。教皇庁からは婚姻の無効は認められていません。ニコルとの間には子供はいませんでした。
2. 1637年、ベアトリクス・ド・キュザンス（1614年 - 1663年）と再婚し、3人の子を儲けました。しかし、ニコルとの結婚関係が無効とされていないため、これらの子供たちに継承権はありませんでした。
フランソワ（1637年 - 1638年）
アンヌ（1639年 - 1720年） - リルボンヌ公・ジョワイユーズ公フランソワ・マリー・ド・ロレーヌと結婚。ジョワイユーズ女公（1694年 - 1714年）
シャルル・アンリ（1649年 - 1723年） - ヴォーデモン公
3. 1665年、マリー・ルイーズ・ダスプルモン（1652年 - 1692年）と3度目の結婚をしました。

参考文献

シセリー・ヴェロニカ・ウェッジウッド著、瀬原義生訳『ドイツ三十年戦争』刀水書房、2003年。
* 友清理士『イギリス革命史（上）』研究社、2004年。

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