シャル・カリ・シャッリ

シャル・カリ・シャッリは、紀元前22世紀頃に古代メソポタミアのアッカド王朝を統治した王であり、「全ての王」という意味を持つ名前で知られています。彼は、父であるナラム・シンの後を継いで王位に就きました。ナラム・シンは、メソポタミア史上初めて自らを神格化した王として知られていますが、シャル・カリ・シャッリは父とは異なり、自らを神とは宣言しませんでした。ただし、彼を神として崇める臣下の記録は存在しています。

シャル・カリ・シャッリの治世は、帝国の各地で異民族の侵入が相次ぎ、その対応に追われる日々でした。記録に残っているだけでも、アムル人、フルリ人、そしてグティ人といった民族が侵入を繰り返しました。彼は、西方都市バサル（現在のジェベル・ビシェリ）でアムル人と戦い勝利を収め、グティ人の王シャッラクを打ち破るなど、帝国の維持に尽力しました。

特に深刻な問題は、グティ人の侵入でした。当時の書簡には、農場主がグティ人の襲撃に備え、家畜を街の中に避難させるよう指示する内容のものも残っています。さらに、シュメールの都市では反乱が発生し、ラガシュやエラムが独立するなど、シャル・カリ・シャッリの努力もむなしく、アッカド王朝は衰退の一途をたどりました。

シャル・カリ・シャッリは最終的に、粘土板で撲殺されるという形で暗殺されました。彼の死後、アッカド帝国は崩壊し、その支配領域はアッカド市周辺にまで縮小しました。その後、メソポタミアではグティ王朝が勢力を拡大し、混乱の時代が幕を開けます。

シュメール王名表には、彼の後について「誰が王で、誰が王ではなかったか」という言葉が記されており、当時の無政府状態を暗示しています。シャル・カリ・シャッリの治世は、アッカド帝国の終焉を象徴する時代であったと言えるでしょう。

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