シャンタル・プチクレール

シャンタル・プチクレール（Chantal Petitclerc）は、1969年12月15日生まれ、カナダ出身の元車いす陸上競技選手です。

ケベック州サン＝マルク＝デ＝カリエールの出身。13歳の時に不慮の事故により両脚に障がいを負いました。障がいを乗り越えスポーツを始めるきっかけとなったのは、高校時代の体育教師からの勧めで始めた水泳でした。その後、18歳で車いすレースの大会に初めて参加し、競技としての車いす陸上と出会います。1989年にはカナダ国内選手権で初の栄冠に輝き、現在に至るまで100m、200m、400m、800m、1500mといった主要種目の国内記録保持者としてその名を残しています。

彼女のキャリアにおける最大の舞台はパラリンピックでした。1992年のバルセロナ大会でパラリンピックに初出場すると、続くアトランタ、シドニー、アテネ、北京と5大会連続で出場。これらの大会で、金メダル14個、銀メダル5個、銅メダル2個、合計21個という驚異的な数のメダルを獲得し、車いす陸上界において圧倒的な強さを見せつけました。

パラリンピックでの活躍に加え、2004年のアテネオリンピックでは公開競技として実施された車いす陸上800mに出場し、優勝を飾っています。また、障がいを持つアスリートが正式に参加するようになった2002年のコモンウェルスゲームズ（マンチェスター大会）では800mで優勝。これにより、健常者も出場する主要な国際競技大会において、カナダの障がい者アスリートとして初めて公式メダルを獲得するという歴史的な快挙を成し遂げました。2006年のコモンウェルスゲームズ（メルボルン大会）では、カナダ選手団の開会式旗手という大役も務めています。

その輝かしい功績は国内外で高く評価されており、2005年には世界のスポーツ界で最も権威ある賞の一つとされるローレウス世界スポーツ賞を受賞。さらに、2008年にはカナダ国内の年間最優秀スポーツ選手に贈られるルー・マーシュ賞を受賞するなど、数々の栄誉に浴しています。

日本とも縁があり、大分国際車いすマラソンには1994年と1995年に出場。特に1994年の第14回大会では見事に優勝を果たしています。

以下は、彼女が樹立した主な記録です。

世界記録
100m: 15秒91（2008年、アトランタ）
200m: 27秒52（2008年、北京）
400m: 51秒91（2004年、アテネ）
800m: 1分45秒19（2008年、北京）
1500m: 3分24秒20（2007年、アトランタ）

パラリンピック記録
100m: 16秒33
200m: 27秒52
400m: 51秒91
800m: 1分45秒19
1500m: 3分26秒89

シャンタル・プチクレールは、その圧倒的な記録と数々のメダル獲得を通じて、車いす陸上競技の発展と普及に大きく貢献し、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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