シュテファーヌ・ジャモエ

シュテファーヌ・ジャモエ

1989年10月5日、ベルギーのヴィゼに生まれたステファン・ジャモエ（Stephane Jamoye）は、バンタム級を中心に活動したプロボクサーです。「Survivor（サバイバル男）」という愛称で親しまれた彼は、巧みな技術を持ちつつも、前に出てプレッシャーをかけ、カウンターを狙うという、積極的かつ戦術的なファイトスタイルが特徴でした。

彼のプロキャリアは2007年10月27日、地元リエージュ州ヴィゼでのデビュー戦から始まりました。この試合を2回KO勝利で飾り、順調なスタートを切ります。キャリア初期からタイトル戦線に絡み、2009年2月にはベルギーバンタム級王座を獲得。同年5月にはタイの強豪プンルアン・ソー・シンユーを判定で破り、WBC世界バンタム級ユース王座を手に入れました。さらに勢いに乗って、2009年11月にはEBUヨーロッパ連合バンタム級王座も獲得。短期間で複数のタイトルを腰に巻き、ヨーロッパの軽量級における注目選手としての地位を確立しました。

しかし、彼のキャリアには不運な出来事もありました。2010年8月、メキシコで後の世界王者となる日本の亀田和毅と対戦した際、試合は一旦引き分けと採点されましたが、集計ミスが判明し、最終的に判定負けに変更されてしまったのです。これがジャモエにとってプロキャリア初の黒星となり、保持していたWBCユース王座も失うことになりました。この経験は彼の「Survivor」という愛称をより印象深いものとしました。

EBU王座を保持しながら、彼は2011年1月にイギリスへ渡り、ジェームス・マクドネルが持つEBU欧州バンタム級王座に挑戦しますが、敵地で判定負けを喫し、王座獲得はなりませんでした。同年3月にはメキシコで後のスーパースター、レオ・サンタ・クルスとも対戦しましたが、KO負けを喫しています。世界の強豪との対戦は、彼に厳しい現実を突きつけましたが、同時に貴重な経験となりました。

失ったEBU欧州王座への執念を見せ、2012年にはWBCインターコンチネンタルスーパーフライ級ユース王座を獲得し再起を図ります。そして2012年12月、再びEBU欧州バンタム級王者となったリー・ハスキンスに挑戦。この試合を8回TKOで制し、見事EBU欧州王座を獲得しました。一度は防衛に成功したものの、2013年9月にはカリム・ゲルフィに判定で敗れ、王座を失うこととなります。

2014年4月、ジャモエは日本のリングに上がります。大阪城ホールで当時WBC世界バンタム級王者だった山中慎介に挑戦したのです。結果は9回TKO負けとなり、世界王座獲得は叶いませんでした。この試合後、日本のメディアから山中と、かつて対戦した亀田和毅との比較を問われると、「全然比較にならない」と即答し、山中の実力を高く評価するコメントを残しています。

山中戦後も現役を続行し、2014年9月にはイギリスでWBA世界スーパーバンタム級王者のスコット・クィッグにも挑戦しましたが、ここでもTKO負けとなり、世界王座には手が届きませんでした。その後もリングに上がり続け、タフなキャリアを歩んだジャモエは、ベルギーボクシング界において重要な足跡を残した選手と言えるでしょう。

彼の獲得した主なタイトルは以下の通りです。

• - ベルギーバンタム級王座
• - WBC世界バンタム級ユース王座
• - EBUヨーロッパ連合バンタム級王座
• - WBCインターコンチネンタルスーパーフライ級ユース王座
• - EBU欧州バンタム級王座

数々のタイトルを獲得し、世界のトップレベルの選手たちと拳を交えてきたシュテファーヌ・ジャモエ。「Survivor」の名にふさわしく、困難な状況にも屈せず戦い続けた彼のキャリアは、多くのボクシングファンに記憶されています。

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