シュプリンガー・ジャパン

シュプリンガー・ジャパン株式会社（英文表記: Springer Japan KK）は、ドイツに本社を置く世界的なSTM（科学・技術・医学）分野の出版社、シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディアの日本における事業法人です。

主要な業務は、親会社が世界に向けて刊行している専門性の高い書籍や学術ジャーナルを、日本国内で出版・販売することです。これらの出版物は、自然科学、工学、医学、人文科学など幅広い分野を網羅しており、国内外の研究者や技術者に利用されています。

かつて、シュプリンガー・ジャパンは親会社の出版物の日本語翻訳版や、日本の研究者によるオリジナルの和書も手掛けていました。しかし、2012年に和書関連事業に関する権利を丸善出版株式会社へ譲渡し、この分野から撤退しました。これにより、それまでシュプリンガー・ジャパンから刊行されていた和書は、順次丸善出版から再版または新規刊行される形となっています。

親会社であるシュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディアは、グローバルな出版業界における再編の影響を受けました。2015年5月には、主要な国際的な競争監視機関（欧州連合や米国司法省など）の承認を経て、マクミラン・サイエンス・アンド・エデュケーションの事業の大部分との合併を完了させました。この統合により誕生した新たな企業グループは「シュプリンガー・ネイチャー (Springer Nature)」と命名され、世界最大級の学術系出版社の一つとなりました。

沿革

シュプリンガー・ジャパンの歴史は、複数の企業の設立と統合を経て形成されました。

1965年：イースタン・ブック・サーヴィスが設立されます。当初はエルゼビア、シュプリンガー、カルガー、ランダム・ハウスなど、多くの海外出版社や機関（国連関連含む）の日本における販売代理店業務を行っていました。
1978年：ドイツのシュプリンガー・フェアラークの傘下に入り、同社の日本における主要な販売窓口としての役割を強化します。この時期には、国連機関である世界銀行や国際連合教育科学文化機関（ユネスコ）の出版物販売代理も継続していました。
1983年：イースタン・ブック・サーヴィスの関連会社として、シュプリンガー･フェアラーク東京が設立されます。
1998年：ドイツのメディアコングロマリットであるベルテルスマンの傘下にあったベルテルスマン・シュプリンガーの一員として位置づけられ、シュプリンガー・フェアラークグループの日本販売支社としての体制が確立されます。
2003年8月：投資会社であるシンベンとキャンドーヴァー・インヴェストメンツが新たな株主となり、クルーヴァー・アカデミック・パブリッシャーズとの合併を経たシュプリンガーの日本販売支社となります。
2006年8月1日：シュプリンガー・フェアラーク東京がイースタン・ブック・サーヴィスを吸収合併し、社名をシュプリンガー・ジャパン株式会社に変更。現在の会社の基礎が築かれます。
2011年11月19日：本社を千代田ファーストビル東館に移転します。

雇用問題を巡る出来事

シュプリンガー・ジャパンは、過去に従業員の雇用に関する問題に直面しています。

ある女性従業員が、2014年9月に育児休業を取得しました。翌2015年3月に職場復帰を申し出た際、会社側は彼女に対し、インドへの転勤か、現在の収入から大幅に減少する職務への異動という選択肢を提示しました。この提示を従業員が拒否したところ、同年11月に「職場の秩序を乱した」ことを理由に解雇されました。

この解雇の妥当性が争われた裁判において、東京地方裁判所は、会社が行った解雇は無効であるとの判断を示しました。裁判所は、会社に対し、不当に解雇された期間の未払い賃金を含む支払いを命じる判決を下しています。

関連項目

シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア
* シュプリンガー・ネイチャー

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