シュミットミューレンの戦い

シュミットミューレンの戦い

シュミットミューレンの戦い（ドイツ語: Schlacht bei Schmidmühlen）は、スペイン継承戦争中の1703年3月28日、神聖ローマ帝国軍とバイエルン選帝侯領の軍隊の間で繰り広げられた戦闘である。この戦いは、バイエルン軍の戦術的な勝利に終わった。

戦争の背景

スペイン継承戦争が始まった直後、バイエルン選帝侯マクシミリアン2世エマヌエルは積極的に軍事行動を展開していた。1703年2月にはプファルツ＝ノイブルク公領をその支配下に置き、さらに以前から領有していたオーバープファルツ地域と合わせて、重要な戦略拠点を確保した。これにより、バイエルンはフランケン・クライス（現在のフランケン地方に相当する神聖ローマ帝国の行政区分）へのさらなる進出を図るための足がかりを手に入れた形となった。

これに対し、神聖ローマ帝国側はバイエルン軍の動きに対抗するため、ヘルマン・オットー2世・フォン・リンブルク＝スティルム将軍率いる帝国軍をバイエルン西部から派遣し、反攻を開始した。この帝国軍には、フランケン地域から集められた部隊も加わっていた。帝国軍はバイエルンへの侵攻を進め、1703年3月8日にはディートフルトでバイエルン軍による抵抗を退けることに成功した。

その後も帝国軍の進撃は続き、3月17日には要衝であるノイマルクト要塞を陥落させた。さらに3月26日にはフェルブルクも制圧するなど、スティルム将軍率いる部隊はオーバープファルツ地域において着実に勢力を広げていた。

戦闘の経過

神聖ローマ帝国軍のスティルム将軍がオーバープファルツでの進軍を続けていた頃、バイエルン選帝侯マクシミリアン2世エマヌエル自身は、バイエルン本軍を率いて別の戦線からの転進を図っていた。彼はまず、当時パッサウの南東方面で行動していたレオポルト・シュリク・ツー・バッサーノ・ウント・ヴァイスキルヒェン将軍が指揮する帝国軍部隊を破ることに成功していた。

その勝利の後、マクシミリアン2世エマヌエルは迅速に兵を進め、スティルム将軍率いる帝国軍のさらなる進出を阻止しようとした。バイエルン軍と帝国軍は、シュミットミューレン近郊で対峙し、会戦に突入した。これが1703年3月28日に発生したシュミットミューレンの戦いである。

結果と影響

このシュミットミューレンでの会戦において、バイエルン選帝侯マクシミリアン2世エマヌエル率いるバイエルン軍は勝利を収めることができた。しかし、この戦術的な勝利は、バイエルン選帝侯にとって期待された戦略的な成果に繋がるには至らなかった。

勝利を収めた直後、マクシミリアン2世エマヌエルは、バイエルン南部へ侵攻してきた別の帝国軍部隊への対応を迫られた。このため、シュミットミューレンでの勝利によって得られた優位を拡大し、オーバープファルツ地域での攻勢を継続する機会を逸してしまったのである。

結果として、スティルム将軍率いる帝国軍によってすでに占領されていたオーバープファルツ地域の大部分は、帝国側の支配下に留まることとなった。そして、バイエルンが当初目論んでいたフランケン・クライスへの直接的な軍事的圧力や脅威は、この状況によって弱まることになった。

シュミットミューレンの戦いは、バイエルン軍が帝国軍の一部に戦術的な勝利を収めたものの、戦略全体の状況や他の戦線での展開によってその成果が限定され、戦局に決定的な影響を与えるまでには至らなかった一戦と言える。

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