シュメン州

シュメン州は、ブルガリア北東部に位置する州で、ドナウ平原の丘陵地帯に広がっています。州都はシュメン市です。この地域は、かつて第一次ブルガリア帝国の中心地として栄えました。7世紀後半には、ブルガール人がこの地に侵入し、アスパルフ・ハーンによって第一次ブルガリア帝国が建国されました。681年には、プリスカが帝国の首都と定められましたが、現在のカスピチャン市の一部にあたります。プリスカには、当時の都市の遺跡が残されています。

シュメン州には、歴史的な観光地が多く存在します。特に有名なのは、シュメン市の近郊にあるマダラ村のマダラの騎士像です。この巨大なレリーフは、切り立った崖に刻まれており、世界遺産にも登録されています。マダラの騎士像は、アスパルフの後を継いだテルヴェル・ハーンの時代に造られたと推測されており、ブルガール人の騎士の姿を描いたものと考えられています。

また、9世紀には、シメオン1世の時代に首都がプレスラフに移され、急速に開発が進みました。シメオン1世はブルガリアのキリスト教化を推進し、東ローマ帝国への侵略を繰り返しました。彼は「ブルガリア人とローマ人の皇帝」を自称し、ブルガリア正教会を設立しました。

シュメン市には、1300段の階段があるモニュメントがあり、これは州の1300年の歴史を記念して建てられました。その他にも、シュメン要塞跡、トンブル・モスク、シュメン平原自然公園などの観光スポットがあります。また、シュメンスコ・ビールというブルガリアを代表するビールブランドの醸造所もあります。

シュメン州は、ヴァルナとソフィアを結ぶ主要な交通路に位置しており、鉄道や道路が整備されています。特に、シュメンとヴァルナの間にはヘムス高速道路が敷設され、将来的にはソフィアまで延伸される計画です。

シュメン州の主な民族構成は以下の通りです（2003年時点）。

ブルガリア人: 60.2%
トルコ人: 29.1%
ロマ: 8.1%
ヴラフ人: 0.6%
アルメニア人: 0.2%
ロシア人: 0.2%

シュメン州には、シュメン、ヒトリノ、カオリノヴォ、カスピチャン、ニコラ・コズレヴォ、ノヴィ・パザール、スミャドヴォ、ヴァルビツァ、ヴェリキ・プレスラフ、ヴェネツといった基礎自治体があります。これらの自治体は、それぞれの地域特性と歴史的背景を持っています。

シュメン州は、その豊かな歴史と文化、美しい自然景観が魅力的な地域です。第一次ブルガリア帝国の中心地としての歴史を持ち、多くの文化遺産が残されています。観光地としての魅力も高く、多様な民族が暮らす地域として知られています。

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