シュメン

シュメン（Shumen）

シュメンは、ブルガリア北東部に位置する都市で、シュメン州の州都です。その歴史は古く、紀元前から要塞都市として重要な役割を果たしてきました。オスマン帝国時代には「シュムヌ」と呼ばれ、1950年から1965年までは政治家ヴァシル・コラロフにちなんで「コラロヴグラト」という名で知られていました。2006年時点での人口は約103,016人です。

地勢

シュメンは、ヴァルナから西へ約80km離れた、バルカン半島の東側の丘陵地帯に位置しています。地理的に重要な場所にあり、北へはドナウ河畔のルセやシリストラ、ドブロジャ地域へ、東へはヴァルナやバルチクへと道路が放射状に延びています。

歴史

シュメンの地には、紀元前から要塞が築かれていました。トラキア人やローマ人もそれぞれ要塞を築き、この地を守ってきました。811年にはニケフォロス1世によって焼き払われ、1087年にはアレクシオス1世コムネノスの軍によって包囲されるなど、幾多の戦乱を経験しています。シメオン1世の治世下（866年 - 927年）は、ブルガリア文化の黄金期であり、シュメンは文化と宗教の中心地として栄えました。15世紀まで、市街はシュメン要塞の周りに広がり、高度な防衛設備や宗教施設、建物が建ち並んでいました。

1380年代後半、オスマン帝国のムラト1世の軍勢がブルガリアへの侵攻を進める中で、シュメンもその影響を受けました。1444年には、ヴワディスワフ3世の十字軍がムラト2世のオスマン軍に敗れ、市街は破壊され、現在の地に移転しました。

18世紀には、防壁が拡張され、要塞としての機能が強化されました。1774年、1810年、1828年にはロシアからの攻撃を受けましたが、いずれも撃退に成功しています。この功績により、シュメンは勝利を意味する「ガジ」という名誉称号を得ました。1854年には、オスマン帝国将軍オマール・パシャがクリミア戦争のためにシュメンに駐屯地を置きました。

19世紀、シュメンはブルガリア祖国回復運動の中心地として重要な役割を果たし、多くの愛国者がこの地から立ち上がりました。そして1878年、ブルガリア公国が成立し、シュメンはその一部となりました。

ゆかりの人物

シュメンは、多くの著名な人物を輩出しています。

パンチョ・ヴラディゲロフ - 作曲家
ヴァシル・ステファノフ - 指揮者

姉妹都市

シュメンは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

デブレツェン（ハンガリー）
鄭州市（中国）
マコン（フランス）
アダパザル（トルコ）
トゥルチャ（ルーマニア）
ポドリスク（ロシア）
* ヘルソン（ウクライナ）

シュメンは、古代からの豊かな歴史と文化を持つ都市であり、その遺産は今日にも受け継がれています。

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