シュモクドリ

シュモクドリ

シュモクドリ（学名：Scopus umbretta）は、ペリカン目に分類される鳥類の一種です。分類上、この種はシュモクドリ科およびシュモクドリ属を単独で構成する、非常にユニークな存在として知られています。

形態

成鳥の全長は約58センチメートルほどになります。全身は落ち着いた褐色の羽毛に覆われています。この鳥の最も目を引く特徴は、その独特な頭部の形状です。後頭部から長く伸びた羽毛と、まっすぐに突き出した嘴が相まって、まるで工具の「撞木（しゅもく）」やハンマーのような形に見えます。この特徴的な姿が、和名の「シュモクドリ」や英名「Hammerkop」の名の由来となりました。嘴と後肢の色はともに黒色をしています。また、趾（あしゆび）の間には部分的ながら水かきが見られます。

分布

シュモクドリの生息域は非常に広範囲にわたります。サハラ砂漠より南側のアフリカ大陸全域に加えて、アフリカ東岸沖のマダガスカル島、そしてアラビア半島の南西部に分布しています。具体的には、アンゴラ、ウガンダ、エチオピア、ケニア、南アフリカ共和国など、多数の国々でその姿を見ることができます。

生態

生息環境

主に草原や、湖沼・河川といった水辺環境に生息しています。雨季に地面にできる一時的な水たまりにも飛来することがあります。

食性

動物食性で、主な餌は魚類やカエル、オタマジャクシなどの両生類、そして様々な種類の昆虫などです。活発に餌を捕らえるのは、主に夜が明ける前の早朝と、日が沈む頃の夕方に行われます。

繁殖

繁殖は卵を産む形式で行われます。繁殖の時期は生息している地域によって差があり、例えばナイジェリアでは1月から4月、南アフリカでは7月から1月にかけてが繁殖期となります。シュモクドリは非常に特徴的な巨大な巣を作ることで知られています。巣は雌雄が協力して作り上げ、木の枝などを泥で固めてドーム状に形成します。適切な木がない場合には、地面に作ることもあります。巣の外側を布切れや動物の骨といった様々なもので装飾することもあります。一つの巣を完成させるには、30日から40日という長い日数を要します。彼らは通常、繁殖や休息のために2つか3つの巣を作り、その中の一つを主要なねぐらとして利用します。一度使われた巣は丈夫で、数年にわたって繰り返し使用されます。一度に産む卵の数は3個から7個です。卵の抱卵は雌雄が交代で行い、抱卵期間は約30日程度です。雛が孵った後も、雌雄共同で世話をします。孵化してから約1ヶ月ほどで、雛は巣から巣立ちます。

亜種

シュモクドリには、以下の2つの亜種が確認されています。

キシュモクドリ (Scopus umbretta umbretta) - 基亜種
ギニアシュモクドリ (Scopus umbretta minor) - 基亜種よりもやや小型で、体色がより濃い特徴を持ちます。

人間との関わり

比較的、人間をあまり恐れない性質を持っており、時には民家の近くで見かけられたり、ゴミ捨て場を漁る姿が観察されることもあります。生息地の一部地域では、シュモクドリを殺すと不幸が訪れる、災いが起きるといった古くからの迷信が信じられている文化的な側面も存在します。

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