シュワルツローゼ重機関銃

シュワルツローゼ重機関銃

シュワルツローゼ重機関銃は、オーストリア＝ハンガリー帝国で開発された重機関銃であり、設計者であるアンドレアス・ヴィルヘルム・シュワルツローゼの名を冠しています。日本では「シュワルツローゼ」という呼称が一般的ですが、実際の発音は「シュヴァッツローザ」に近いとされています。

概要

1902年にシュワルツローゼが設計したものが、1905年からステアー社で生産開始されました。その後、スウェーデンのカールグスタフ社でもライセンス生産が行われ、1907年にはオーストリア＝ハンガリー帝国軍の制式重機関銃として採用されました。

シュワルツローゼ重機関銃は、様々な改良が加えられ、防弾盾を装備したタイプや、二輪車への搭載を可能にしたタイプ、二脚への変更、弾薬塗油装置の廃止など、多様な派生型が誕生しました。航空機用や艦船用対空機銃への改造も行われましたが、航空機用は初期にはプロペラ同調の問題が生じ、評価は高くありませんでした（後に問題は解消）。

第一次世界大戦中、オーストリア＝ハンガリー帝国軍の歩兵連隊などで使用されたシュワルツローゼ重機関銃は、その威力と安定性から兵士たちに重宝されました。大戦後、オーストリア＝ハンガリー帝国が解体されると、新国家間で引き続き使用され、各国の標準重機関銃として活躍しました。

第二次世界大戦中には、フィンランド軍が冬戦争や継続戦争でM/14タイプを使用しました。ナチス・ドイツも、オランダ占領時に鹵獲した本銃を「MG07/12」と命名し、二線級部隊や同盟国であるハンガリー軍に供給しました。

構成

マキシム重機関銃を参考に、水冷式冷却機構を採用しています。作動機構は独自の固定式銃身と遅延反動式（トグル遅延式ブローバック）を採用しています。銃身被筒（冷却筒）が短く設計されており、これは発射時の腔圧を調整するためです。発砲時の銃口炎が大きいため、ラッパ形状の大型消炎器が装着されました。

使用弾薬は8mmx56R弾（口径7.92mm）で、250発の布ベルトを右側から給弾します。初期型の発射速度は毎分400発でしたが、改良型では毎分880発に向上しました。

通常は三脚銃架に搭載して運用され、対空射撃のために仰角を調整することも可能です。指揮観測手、弾薬手、射手の3名で運用されます。

車載装備型も存在し、イタリア製のCV33やCV35軽戦車がオーストリアやブルガリアに輸入された際、搭載機銃がシュワルツローゼに換装されました。

各型及び派生型

M.07: 初期生産型。
M.07/12: M.07の改良型。トグル式作動機構のカバーが機関部前端まであるのが特徴です。オーストリア＝ハンガリー帝国軍の標準重機関銃として使用されました。
M.07/15: 航空機関銃型。水冷式冷却機構を廃止し、空冷式に変更されています。
M.07/31: ハンガリー軍向け改修型。8×56mmR弾仕様。
M.08: オランダ及びギリシャへの輸出型。6.5x53mmR弾仕様。
M08/13: 二輪車等に搭載出来るように改良したもの。M08/13同様6.5x53mmR弾を使用。
M08/15: オランダがM.08の製造権を所得して国産したライセンス生産型。
M.14: 使用弾薬をスウェーデン軍標準の6.5mm弾に改良したもの。カールグスタフ社で生産。
M.16 / M.16A: 航空機関銃型。発射速度を毎分880発に向上。銃身は完全露出式。
vz24.07: チェコスロバキアで改修されたタイプ。7.92x57mm弾を使用。銃身と銃身被筒が延長。
MG07/12: ナチス・ドイツにおける鹵獲名称。二線級部隊に配備。

この他にも、冷却器部分を延長するなどの改良が施されたものが、イタリア軍で使用されました。

参考文献・参照元

床井雅美：著『＜世界兵器図鑑シリーズ＞ドイツの小火器のすべて』国際出版：刊 1976年 p.202
徳間文庫『最新マシンガン図鑑』 (ISBN 978-4198925277) 徳間書店：刊 2006年
白石光：著 『第一次大戦小火器図鑑1914～1918』 (ISBN 978-4802203494) イカロス出版：刊 2017年
上田信：著 『【図解】第二次大戦 各国小火器』 (ISBN 978-4775316542) 新紀元社：刊 2018年
de Slag om de GREBBEBERG＞Schwarzlose M.08 ※2020年7月7日閲覧

関連項目

機関銃
重機関銃
* マキシム機関銃

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