シューパロ湖

北海道の巨大な人造湖、シューパロ湖

北海道夕張市に広がるシューパロ湖は、石狩川水系夕張川に造られた日本有数の規模を誇る人造湖です。その歴史は二段階に分けられます。まず、1962年に完成した大夕張ダムによって形成され、その後の2015年に竣工した夕張シューパロダムにより、その水域は大幅に拡大しました。この夕張シューパロダムによって誕生した新しいシューパロ湖は、湛水面積が約1,400ヘクタールに達し、これは雨竜第一ダムの朱鞠内湖に次いで日本で2番目の広さです。また、総貯水容量は約4億2,700万トンを数え、これも徳山ダム（揖斐川）、奥只見ダム・田子倉ダム（只見川）に次いで日本で4番目の規模となります。これらの数値が示す通り、シューパロ湖は日本国内でも屈指の壮大な人造湖の一つと言えます。

名前の響きに宿る歴史

「シューパロ」という名は、この地域の歴史と深く関わるアイヌ語に由来しています。「シ」は「本当の」や「主要な」といった意味合いを持ち、「ユーパロ」は「鉱泉の湧出する所」を指し、これが現在の夕張という地名の語源ともなっています。これら二つの言葉が組み合わされることで、「シューパロ」は「夕張川本流」という意味を持つようになりました。この名は、湖が夕張川という重要な河川の上に造られたことを静かに語っています。

湖底に沈んだ街と記憶

シューパロ湖の建設は、この地域の景観を大きく変えるとともに、かつてそこに暮らした人々の生活や歴史を水底に沈めることになりました。特に、大夕張ダムおよび夕張シューパロダムの完成により、炭鉱の町として栄華を極めた大夕張地区の広範囲が湖の下に消えることになったのです。

最初の変化は、1962年の大夕張ダム建設時に訪れました。この時には、大夕張地区の桜ヶ丘周辺が水没の対象となり、地域の一部が湖底に沈みました。また、資材運搬などに利用されていた下夕張森林鉄道の一部路線も水没の憂き目に遭っています。このダム建設に伴う補償措置の一つとして建設されたのが、特徴的な姿を持つ「三弦橋」でした。

そして、2015年の夕張シューパロダム完成は、さらに広大な範囲に影響を及ぼしました。かつて多くの人々が暮らした鹿島地区の大部分が、この新たなダムによって形成された広大な湖の水位上昇に伴い、水没しました。湖底に沈んだものの中には、すでに旧シューパロ湖上に架かっていた先の三弦橋も含まれます。その他にも、かつて旧陸軍の鉄道連隊が訓練等で使用した重構桁を用いた橋梁や、大夕張ダムの放流水を利用して水力発電を行っていた二股発電所なども、湖底へと姿を消しました。さらに、旧シューパロ湖を形成していた大夕張ダム自体も、新しいダムの貯砂ダムとしての役割を担うため、そのまま水没するという稀有な運命をたどりました。

水没を免れた場所と未来への展望

水没を免れた地域も存在します。鹿島明石町にあった北海道夕張東高等学校の跡地は、幸いにも水没地域から外れていました。この場所は現在、かつて鹿島地区に点在していた様々な記念碑を集約し、湖を一望できる眺望公園として整備されています。訪れる人々は、この公園から広大なシューパロ湖の景観を眺めながら、湖底に沈んだ街の記憶に思いを馳せることができます。

シューパロ湖は、その雄大な自然景観の中に、ダム建設という近代化の歩みと、それに伴い失われた人々の暮らしや歴史の物語を静かに宿しています。湖面に映る空や山々、そして湖底に眠るかつての街の痕跡は、この独特な人造湖が持つ深い歴史と存在感を今に伝えているのです。この広大な湖は、水資源の確保という役割を担う一方で、炭鉱全盛期の記憶をとどめる場所として、訪れる人々に様々な思いを抱かせる存在となっています。

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