奥只見ダム

奥只見ダム概要

奥只見ダム（おくただみダム）は、福島県南会津郡檜枝岐村と新潟県魚沼市にまたがる位置にあり、阿賀野川水系の只見川最上流部に築かれたダムです。電源開発株式会社が管理するこのダムは、重力式コンクリートダムの形式をとり、堤高は157.0mに及び、日本国内で第5位に位置する高さがあります。特に日本一高い重力式コンクリートダムとしても知られています。

ダムによって創り出された人造湖・奥只見湖（正式には銀山湖）は、湛水面積が約1,150haで日本で3番目に広く、総貯水容量はおおよそ601,000,000m³あり、こちらも第2位の人造湖として評価されています。また、越後三山只見国定公園の指定を受けた地域に位置しており、美しい自然環境に恵まれています。2023年には土木学会より「只見川ダム施設群」として、土木遺産の認定を受けました。

歴史的背景

奥只見ダムを含む只見川の電源開発については、明治時代から計画が進められました。特に1936年の発電水力調査を契機に、戦後の復興を目指す中で、特定地域の総合開発計画が著しく進展し、ダム建設が具体化しました。当時、既に侵略戦争による影響で中断していた計画が再び動き出し、1951年には政府による「只見特定地域総合開発計画」を策定し、電源開発を加速させたのです。1953年に奥只見ダムの正式な建設計画が決定しましたが、補償交渉が難航しました。

工事の過程

ダム建設の本格的な始まりも厳しい現実に直面しました。水没する集落の補償交渉が長引く中で、1954年12月から資材運搬用道路の建設が行われました。この路線は険しい山岳地帯を貫通するもので、特に厳しい気候と地形の影響を受けて、工事は多くの困難に直面しました。1957年には道路の完成後に本体工事が始まり、1961年にダムがついに完成しました。

総工費は約360億円に達し、完成当初の奥只見発電所は360,000kWの出力を持つ発電所として日本全体で一般水力発電所としては第2位の地位を占めていました。発電した電力は東京電力及び東北電力へ供給されています。

奥只見湖の魅力

奥只見湖は、その美しい風景と豊かな自然環境から多くの文学作品に影響を与えてきました。有名な小説家たちがこの湖を題材に作品を創作しており、特に三島由紀夫の『沈める滝』は広く知られています。また、作家の開高健もこの湖に感銘を受け、釣りを通じて自然との関わりを深めていきました。これにより、湖の漁業資源を保護するための活動も行われました。

周辺観光とアクセス

奥只見ダムは観光名所となっており、年間約60万人の訪れる人々がいます。アクセスは良好で、首都圏からも新幹線や自動車で簡単に訪れることができます。周囲の自然を活かした観光施設やアクティビティも充実しており、四季折々の楽しみ方があります。特に紅葉のシーズンには多くの観光客が訪れます。

このように奥只見ダムは、電力供給の重要な拠点であると同時に、自然環境と人々の生活が交差する豊かな場所としてその存在感を示しています。

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