雨竜第一ダム

雨竜第一ダムの概要

雨竜第一ダムは、北海道雨竜郡の幌加内町に位置し、石狩川水系の雨竜川の最上流部に建設されています。このダムは、北海道電力株式会社によって管理されている発電専用の重力式コンクリートダムで、高さは45.5メートルです。その直下には、広大な朱鞠内湖が広がっており、日本で最も広い人造湖として知られています。1943年（昭和18年）の完成以来、朱鞠内湖の湛水面積は未だに日本一の記録を保持しています。

歴史的背景

雨竜第一ダムの建設は、王子製紙が電力供給を目的に雨竜川の電源開発を目指したことに始まります。1928年に設立された『雨竜電力株式会社』がダムの開発を推進しましたが、当時は北海道帝国大学の演習林が用地として提供されており、ここには巨木が生い茂る原生林が存在しました。王子製紙はこの演習林を購入した後、ダム工事に着手しましたが、伐採が進む中で原生林が解体されました。

ダムの建設地点は雨竜川の源流部で、厳しい冬季の寒さが工事を厳しくしました。このため、深名線鉄道の延伸工事が行われ、工事用資材の運搬が可能となりました。ダムと併せて雨竜発電所も建設中でしたが、工事は国家による電力統制によって一時中断されました。

建設工事の過酷さ

日本発送電によって引き続き行われたダムの建設は、資材不足や極寒の気候に苦しみました。特に、この地域は冬季にはマイナス40℃にも達するため、多くの労働者が過酷な環境で働くことを余儀なくされました。建設には延べ600万人が動員され、その中には連合国軍捕虜やアジアからの労働者も含まれていました。彼らは極端な労働環境に置かれ、多くの犠牲者も出たとされています。

また、湖畔近くの光顕寺には当時の犠牲者を偲ぶための位牌や遺品が展示されています。

深名線の整備

ダムの建設に際して、物資の輸送用に1924年に開通した深名線の整備が行われました。1932年には、幌加内の先の駅と朱鞠内駅間が開通し、さらに1941年には名寄市とを結ぶルートが完成しました。これにより資材運搬がスムーズに行えるようになりましたが、戦後は乗客の減少に伴って赤字路線となり、1995年に全線が廃止されました。

現在のダムと湖

戦後、日本発送電が分割されると、ダムの管理が北海道電力に移行しました。現在、雨竜第一ダム及び第二ダムは北海道電力雨竜ダム統合管理事務所によって管理されています。なお、朱鞠内湖は自然美に恵まれ、1974年には道立自然公園に指定されました。ダムからの水は、トンネルを介して石狩川から天塩川へ流れ込み、そこに設置された発電所で生かされています。

朱鞠内湖の湛水面積は2,373ヘクタールであり、これは日本で最大の広さを誇ります。湖岸は原生林に囲まれ、美しい光景が広がっています。キャンプ場も整備されており、訪れる人々に自然を楽しむ場所を提供しています。ダムと朱鞠内湖は水力発電の重要な拠点として、北海道の電力供給を支える役割を果たしています。

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