ショウジョウソウ

ショウジョウソウ：燃えるような赤葉の多年草

ショウジョウソウ（学名：Euphorbia cyathophora）は、トウダイグサ科トウダイグサ属に属する植物です。その名の通り、鮮やかな赤い苞葉が特徴で、まるで燃える炎のような美しさから、観賞用として広く栽培されています。しかし、ショウジョウソウは単なる園芸植物ではありません。世界中の熱帯・亜[[熱帯]]地域に帰化し、野生化している、生命力の強い植物でもあります。

ショウジョウソウの形態

ショウジョウソウは、草丈が50cmから1mほどになる一年草です。ただし、原産地である熱帯地域などでは多年草として生育します。茎は直立し、下部の葉は互生します。葉は卵形で、長さ3～10cm、幅1～5cmと比較的大きいです。

最も目を引くのは、茎の先端に集散状につく杯状花序と、そのすぐ下の苞葉です。この苞葉が対生し、ヴァイオリンのような独特の形をしています。そして、この苞葉の基部が鮮やかな紅色に染まることが、ショウジョウソウの最大の魅力です。花自体は小さく目立たないため、鑑賞の対象となるのは主にこの赤い苞葉です。

花期は5月から11月頃で、花の後には蒴果を結び、中に含まれる種子を弾き飛ばして繁殖します。

ショウジョウソウの分布と歴史

ショウジョウソウの原産地は、アメリカ合衆国中部からアルゼンチンにかけての地域です。しかし、その美しい姿から世界中に広がり、熱帯・亜[[熱帯]]地域では野生化しています。

日本には19世紀後半に渡来し、当初は園芸植物として栽培されていました。しかし、一部が逸出し、現在では奄美群島、大東諸島、琉球諸島などで野生化し、畑地や原野に広く自生しています。小笠原諸島にも帰化していることが確認されています。

ショウジョウソウの名前の由来

和名の「ショウジョウソウ」は、赤い苞葉を、中国の伝説上の動物である猩猩（しょうじょう）の赤い顔に例えたものです。猩猩は、赤い顔と毛を持つ想像上の生き物で、酒好きとして知られています。

ショウジョウソウとよく似た植物にショウジョウボク（ポインセチア）がありますが、ショウジョウソウは茎が草質で基部のみ木質化するのに対し、ショウジョウボクは茎が強く木質化します。この違いも、それぞれの名前の由来に関係していると考えられています。英名では「ファイア・オン・ザ・マウンテン（山の火）」と呼ばれ、白い苞葉を持つ近縁種のハツユキソウ（スノー・オン・ザ・マウンテン）と対比されています。また、市場では「サマーポインセチア」の名前で販売されることもあります。

ショウジョウソウと近縁種

ショウジョウソウには、いくつかの近縁種が存在します。特に混同しやすいのは以下の種です。

ショウジョウボク（Euphorbia pulcherrima）: クリスマスの時期に飾られるポインセチアとして有名です。ショウジョウソウとの違いは、苞葉全体が赤く色づくこと、そして茎が強く木質化することです。
*ショウジョウソウモドキ（Euphorbia heterophylla）: 太平洋戦争後に沖縄に帰化しました。ショウジョウソウとよく似ていますが、苞葉の形や総苞腺体の形状、頂部の色などに違いがあります。学名も混同されることがあるため注意が必要です。
*コバノショウジョウソウ（Euphorbia dentata）:* ショウジョウソウよりも葉が小さく、葉の縁には浅裂や波状歯裂が見られます。

まとめ

ショウジョウソウは、その鮮やかな赤い苞葉と生命力の強さを併せ持つ、魅力的な植物です。園芸植物としてだけでなく、帰化[[植物]]としても重要な存在であり、その生態や分布、近縁種との違いを知ることで、さらに深い理解が得られるでしょう。 日本の様々な地域で見られるため、観察する機会も多いはずです。 その美しい姿と興味深い生態を、ぜひ観察してみてください。

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