トウダイグサ科

トウダイグサ科：多様な植物群とその特徴

トウダイグサ科(Euphorbiaceae)は、双子葉植物に属する大きな科であり、およそ300属7500種以上の植物を含みます。その多様性は、草本から高木まで、形態も多岐に渡り、[多肉植物]]も存在します。特に[[トウダイグサ属]は、約1500種と科内でもっとも大きな属です。

分布は世界各地に広がっていますが、熱帯地域である東南アジア、南アメリカ、アフリカなどに特に多く見られます。一方、日本にはそれほど多くの種は存在しません。

独特の花と果実

トウダイグサ科の植物は、雌雄異花であることが多く、多くの種で花は退化傾向にあります。特にトウダイグサ属とニシキソウ属(時にトウダイグサ属に含める)は、特徴的な杯状花序をつけます。これは、小型のカップ状の総包(蜜腺を有する)の中に、雄花と雌花が特殊な配置で集まったもので、全体として一つの花のように見えます。雄花は複数の雄蕊からなり、雌花は単一の雌蕊から構成されています。

果実は、種子ごとに分かれる分離果であることが多いです。成熟すると弾けて種子を散布する種もあります。葉は単葉または複葉で、多くは托葉と呼ばれる小さな葉状の器官を付けます。

重要な特徴：三数性

トウダイグサ科の植物にとって重要な特徴の一つに、「三数性」があります。子房は3つの心皮が融合して3室構造をしており、柱頭も3つに裂けています。この三数性は、単子葉植物では一般的ですが、双子葉植物では珍しい特徴です。そのため、植物分類に携わる者にとって、このような雌しべや果実を持つ双子葉植物は、トウダイグサ科の可能性が高いと推測する手がかりとなります。

有毒種と有用植物

トウダイグサ科には有毒種が多く含まれます。その毒性は様々で、皮膚の炎症から重篤な中毒を引き起こすものまであります。例えば、ハズ(クロトン)に含まれるホルボールエステルは発がんプロモーターとして知られ、また、ヒマの種子には猛毒タンパク質であるリシンが含まれています。さらに、マンチニールは、ギネス世界記録で世界一危険な樹木として記録されています。

一方で、トウダイグサ科には人間にとって有用な植物も数多く存在します。キャッサバは重要な食糧作物であり、パラゴムノキは天然ゴムの原料として広く利用されています。また、ヒマやシナアブラギリなどの種子からは油が採れ、灯火用や塗料などに用いられてきました。ナンキンハゼからは、和蝋燭の原料となる蝋が得られます。観賞用植物も多く、ポインセチア、ショウジョウソウ、ハツユキソウ、ハナキリンなどが人気です。

分類

トウダイグサ科は、複数の亜科、連、属に分類されます。ここでは、代表的なものをいくつか挙げます。

エノキグサ亜科: エノキグサ、アカメガシワ、トウゴマなど
ハズ亜科: アブラギリ、ハズ、キャッサバ、パラゴムノキなど
* トウダイグサ亜科: トウダイグサ、ニシキソウ、ナンキンハゼなど

かつては、トウダイグサ科には現在他の科に分類されている多くの植物が含まれていました。そのため、以前のトウダイグサ科は、様々な系統の植物が混在する「ごみ箱」のような分類群であったと表現されることもありました。APG植物分類体系など、近年の分類体系の見直しによって、トウダイグサ科の範囲は明確化されていますが、それでもなお多様な植物を含み、その研究は続いています。ラフレシアのような寄生植物も、トウダイグサ科の系統に含まれるとする説も提唱されています。 今後の研究で、さらに分類体系が変化する可能性もあります。

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