ショウボート (キャバレー)

ショウボートは、終戦直後の1948年に銀座八丁目にオープンしたキャバレーです。当時、この店は主に進駐軍の下士官や兵卒を対象としており、異国情緒あふれる空間を提供していました。

地上5階建ての建物は、内装が船をモチーフにした独特のデザインで、2階と3階はサロンとして利用されていました。特に目を引いたのは、ミシシッピ川を下るショウボートを模したネオンの電飾で、その派手な光が汐留川に映り込み、銀座の夜を彩っていました。

店のホステスの源氏名は、すべて港町として知られる都市名が用いられていました。また、ウェイトレスは水兵をイメージしたセーラー服を着用し、来店客を迎える際には、出航の合図として人数分の銅鑼が鳴らされるというユニークな演出もありました。

ショウボートは1970年2月に惜しまれつつ閉店し、その後、建物は火災によって焼失しました。現在、その跡地にはリクルートGINZA8ビルが建っています。しかし、その名前は、往時の銀座の華やかさを象徴する存在として、人々の記憶に深く刻まれています。

ショウボートは、映画のロケ地としても利用されました。1954年のハリウッド映画『トコリの橋』では、朝鮮戦争下の日本での休暇シーンで、ウィリアム・ホールデン演じるブルーベーカー大尉が、ミッキールーニー演じるマイクに連れられて、淡路恵子演じるホステスのキミコに会う場面で登場します。また、1951年の映画『武蔵野夫人』では、轟夕起子がタクシーに乗るシーンの背景に、ショウボートの建物全体が映し出されています。

このように、ショウボートはキャバレーとしてだけでなく、当時の社会や文化を反映する存在として、映画という形で記録されています。

もう一度検索