ショック集団

映画『ショック集団』について

『ショック集団』（ショックしゅうだん、Shock Corridor）は、1963年に公開されたアメリカのドラマ映画です。本作はサミュエル・フラーが監督・脚本を務め、精神病院で発生した未解決の殺人事件を調査する新聞記者の奮闘を描いています。元々はフリッツ・ラングのために書かれた脚本で、当初のタイトルは『Straitjacket』でしたが、ラングからのリクエストにより男性主人公から女性主人公に変更することは叶わず、最終的にフラーが自身のスタイルで作品を完成させました。

映画の冒頭では、フラーの別作『裸のキッス』のキャラクターが登場し、時代背景を演出しています。本作はモノクロで撮影されていますが、一部の回想シーンではカラーが使われ、特に鎌倉や富士山の映像が印象的です。さらに、日本映画『東京暗黒街・竹の家』のフッテージも使用されています。

あらすじ

物語の主人公、ジョニー・バレットは、ピューリッツァー賞を狙う野心的な新聞記者です。未解決の殺人事件を追うため、彼は精神病院に潜入することを決意します。入院するためには狂気を装う必要があり、彼の恋人キャシーに妹役を演じてもらう形で警察に嘘の通報をします。事件の過去に関わった人物たちに近づくため、彼は精神障害を抱える患者として病院に入院するのです。

病院内では、様々な背景を持つ患者たちが登場します。スチュアートは朝鮮戦争の元兵士で、捕虜となった経験から精神的に傷ついています。トレントは人種差別の影響で精神的に崩壊し、ボーデンは原子物理学者としての罪悪感から退行しています。ジョニーは彼らと接触し、徐々に事件の真相に迫っていくのですが、同時に自身の精神も変調をきたすことになります。

次第に彼はキャシーを本当の妹として捉え始め、精神的な混乱が深まっていきます。ついには犯人を突き止め、自白させることに成功しますが、その過程で彼の精神は崩壊し、ピューリッツァー賞を受賞したものの、以降の人生は病院で過ごすことになってしまいます。

キャスト

本作には、ピーター・ブレックがジョニー・バレットを演じ、コンスタンス・タワーズがキャシー役を務めます。その他にも、ジーン・エバンス、ジェームズ・ベスト、ハリー・ローズなどがキャストに名を連ねています。

評価

映画評論家のレナード・マルティンは、本作品を「ひりひりするエモーショナルな衝撃を持つパワフルなメロドラマ」と評し、4つ星中3つを付けました。また、アンドリュー・サリスは本作を「現代アメリカのアレゴリーとし、シュールな現実を描写している」と評価し、ハリウッドの優れたバロックB映画に位置付けました。

1996年にはアメリカ議会図書館によって「文化的、歴史的、審美的に重要」として国立フィルム登録簿に保存されました。

映画のレガシー

『ショック集団』は後の作品にも影響を与えました。例えば、2003年の映画『ドリーマーズ』の冒頭で本作が登場し、またマーティン・スコセッシの2010年の『シャッター アイランド』にもその影響が見られます。

ノベライズ

映画公開と同時に、ベルモント・ブックス社からノベライズが出版され、著者はマイクル・アヴァロンでした。

『ショック集団』はその革新的なスタイルと内容により、今なお多くの人に影響を与える重要な作品といえるでしょう。

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